【ゆるゆりSS】きもちに寄り添う数秒間
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19:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:08:19.59 ID:49voo3/L0
「……」

 向日葵が「それじゃ」と手を振って足早に去っていく。櫻子はその後ろ姿をただ見つめていた。
 今の今まで帰ろうとしていたのは事実だ。思っていたよりも人混みがすごくて大変で、落ち着いて花火を見られるような状況じゃないし、はっきり言って楽しくない。自分のペースで歩くこともできず、喧騒にかきけされて会話もまともにできず、想像していた花火大会の良さはここにはなかった。

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:09:26.85 ID:49voo3/L0
 くるりときびすを返し、向日葵が消えていった方向に慌てて走り出す。困惑気味に『えっ!?』『またねー!?』と声をかけてくれる友人たちの声を背中で感じつつ、とにかく目の前の人ごみをかきわけて前へと進もうとした。
 離れてからものの一分ほどしか経っていないはずなのに、向日葵はすぐには見つからなかった。すみません、すみませんと人の波を割りつつ、前へ前へと進んでいく。
 後ろ姿を見つけられない時間が一秒一秒経つごとに、やっぱり向日葵と別れてはいけなかったのだという焦燥感が櫻子の胸に募り、ばくばくと音を立てる。

 もしもこのまま見つからなかったらどうする?
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:10:18.12 ID:49voo3/L0
 鮮やかな光が薄闇を切り裂くようにぱーんと広がり、辺りからわっと歓声が上がった。いつの間にか、花火の開始時刻になっていたようだ。
 ぱんぱんぱん、と続けざまに花火が打ちあがる。
 赤、緑、オレンジ。色とりどりの光が、向日葵の顔をほのかに照らす。
 そのまんまるい目を見て、櫻子は向日葵の手をしっかりと握り直し、もう離すまいと心に固く誓った。
 
以下略 AAS



22:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:11:29.89 ID:49voo3/L0


 撫子に教えられた場所は、たしかに見晴らしがいいのに人があまりいない、珍しいスポットだった。
 櫻子は階段状になっている場所に向日葵と一緒に腰を下ろし、途中で買ったいちご味のかき氷を分け合い、静かに花火を見守った。
 向日葵の安らかな笑顔を見ていると、心が落ち着くとともに、少しだけドキドキする。
以下略 AAS



23:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:12:09.22 ID:49voo3/L0
「櫻子、見ました今の?」
「……」
「……櫻子?」

 櫻子が先ほどから夜空ではなくこちらをずっと見ていることに向日葵も気づく。まだ少しだけうるんでいるような気がする、まんまるの大きな目と視線が重なる。
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:12:47.56 ID:49voo3/L0
 今までだって、ずっとそうだったのかもしれない。
 何をするにも、向日葵のことばかり考えている。
 他の友達と遊んでいたって、今頃向日葵はどうしてるのかなって、気になるときがあった。

 向日葵が嬉しいと嬉しい。向日葵が悲しいと悲しい。
以下略 AAS



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