20:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:09:26.85 ID:49voo3/L0
くるりときびすを返し、向日葵が消えていった方向に慌てて走り出す。困惑気味に『えっ!?』『またねー!?』と声をかけてくれる友人たちの声を背中で感じつつ、とにかく目の前の人ごみをかきわけて前へと進もうとした。
離れてからものの一分ほどしか経っていないはずなのに、向日葵はすぐには見つからなかった。すみません、すみませんと人の波を割りつつ、前へ前へと進んでいく。
後ろ姿を見つけられない時間が一秒一秒経つごとに、やっぱり向日葵と別れてはいけなかったのだという焦燥感が櫻子の胸に募り、ばくばくと音を立てる。
もしもこのまま見つからなかったらどうする?
自分で誘っておいて、向日葵を置いてけぼりにするなんて。
きょろきょろと周囲を見渡しながら懸命に向日葵を探す。「もう少しだけこのあたりを見たら」などと言っていたが、まっすぐに駅に向かったのだろうという確信が櫻子の中にはあった。人ごみに流されるままに来たところだし、土地勘がなくて駅の方向がどっちなのかもわからないが、こっちだと思う方面へ進んでいった。
そして、
(向日葵!!)
人ごみの端っこの方を、うつむきがちに歩く向日葵の後ろ姿が、視界の遠くに入った。
すぐその間に、背の高い別の人が入ってきてしまう。櫻子は向日葵の姿を絶対に見失わないようにと、割っていけそうな隙間をみつけて距離を縮める。
もう少し、あと少し。人の波をかきわけて、向日葵に近づいていく。
「向日葵っ!」
声をかけると、向日葵が立ち止まった。後ろを振り向こうとするその背中に、櫻子は思いっきり飛びついた。
「きゃっ!?」
「はぁ……はぁ……」
「さ、櫻子……?」
勢いがよすぎて、ほとんどもたれかかるように向日葵に抱き着く形となった櫻子。
向日葵の目じりには、キラキラと涙が浮かんでいたような気がした。
呼吸を整えながら人ごみの邪魔にならない端の方へと移動する。向日葵はあわてて目を拭いながら、櫻子の背中をさすった。
「ど、どうしたんですの櫻子。さっきの子たちは?」
「い、行ってもらった。いいの、あの子たちはっ」
「本当にいいんですの……?」
「いいに決まってんじゃん!! 今日は向日葵とっ……!」
そのとき、
「あ……」
夜空に満開の花が咲いた。
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