242:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:08:06.57 ID:XVB8s0iW0
人間の不安定な感情や思念をも取りこむ、
これは自我の変質どころか悪魔の範疇をも外れかねないものであり、
まともな魔族ならば絶対にやらなかった。
しかしスパーダはやはり違った。
243:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:08:55.73 ID:XVB8s0iW0
自覚した時にはすでに遅かった。
人間のことを研究材料としては見られなくなっていた。
彼らに行ってきた研究は害悪であり、それを「非道」だと思うようになり、
それを行ってきた己に怒りをも抱いてしまう。
244:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:09:30.68 ID:XVB8s0iW0
その毒はもはや止めようがなく、
スパーダは次第に己の在り方をも見失いはじめた。
武力探求をもとめる生来の衝動と、
245:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:10:07.60 ID:XVB8s0iW0
そのようにスパーダは鈍い苛立ちと苦悩のなか、
ぼんやりと人間世界に浸る日々を過ごした。
そして、そのまま数百年経ったある時、魔帝から言伝が届いた。
246:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:10:34.55 ID:XVB8s0iW0
賢者と魔女が行っていた精神解析、
それは魔帝の手先が紛れこむのを防ぐためのものだったが、
スパーダにとっては今の個人的問題を解決しうる糸口でもあった。
247:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:11:11.71 ID:XVB8s0iW0
だが、そうはならなかった。
精神解析を問題なく通過してしまったために。
スパーダの精神深部を覗いた「世界の目」は、
248:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:11:38.16 ID:XVB8s0iW0
そうしてひとたび受け入れてしまえば、
今までの迷いが嘘のように思念は澄みわたり、
不明確だった自意識は一気に再構成されていった。
249:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:12:05.86 ID:XVB8s0iW0
心機一転したスパーダは、
そのまま賢者・魔女傘下の支援兵団員となって
業務をこなすようになった。
250:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:12:34.61 ID:XVB8s0iW0
また悪魔としての力は完全に封じていたとはいえ、
膨大な経験ゆえに「弱き人間世代の魔剣士」としても
彼は図抜けた能力を発揮した。
251:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:13:10.59 ID:XVB8s0iW0
しかし一方で、スパーダは変えられない現実も常に意識していた。
それは彼が悪魔であり、侵犯者であるという事実である。
彼が人間界にとって究極の敵であることは今も変わらない。
252:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 13:13:45.02 ID:XVB8s0iW0
2 運命
きっかけは、支援兵団の在籍三年目に
スパーダが再び精神解析を受けたことだった。
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