17: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:33:21.81 ID:N9VhFuQzO
残り97日
18: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:34:13.16 ID:N9VhFuQzO
「お、来たね」
分厚い扉を開けると、カランという音と乾いた木の匂いがした。マスターの大城戸さんが、ニヤリと笑う。
19: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:34:49.79 ID:N9VhFuQzO
「で、どうなんだ。例の彼女」
シャカシャカという軽妙な音と共に、大城戸さんが訊いた。昔は湯島にある老舗のバーで働いていたらしく、シェーカーさばきは素人の僕でも分かるほど鮮やかだ。
20: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:35:30.00 ID:N9VhFuQzO
*
「Bar Orchid」を出たのは21時ごろだった。ギムレットを含むショートカクテルを3杯、そこにロングアイランドアイスティー。
酒量としてはかなり飲んでいる。店を出る時、心配そうな大城戸さんに「大丈夫れす」と答えたけど、正直足元はおぼつかない。
21: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:36:24.90 ID:N9VhFuQzO
……コツリ
22: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:36:55.38 ID:N9VhFuQzO
立ち止まり、僕は叫んだ。
「誰だっ」
23: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:37:32.27 ID:N9VhFuQzO
*
24: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:38:11.04 ID:N9VhFuQzO
*
スローモーションのように、あるいはソフトクリームが溶けるように、高層ビルが崩れ落ちていく。
逃げ惑う人々。立ちこめる黒灰色の煙。それはありきたりな言葉で言えば、地獄絵図そのものだった。
25: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:39:01.51 ID:N9VhFuQzO
*
「……はっ」
思わずベッドから飛び起きた。深酔いのせいで気分は最悪だ。かといって、胃の中の内容物を吐くまでには至らない。それが僕を一層苛立たせた。
26: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:39:46.15 ID:N9VhFuQzO
その時、ふと気付いた。あのオフィスビル、どこかで見覚えがある。……丸の内にある「三友グランドタワー」。
27: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/23(木) 19:40:18.77 ID:N9VhFuQzO
今回はここまで。
次回は視点が変わるかもしれません。
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