【デレマスss】木村夏樹「ファースト・パッセンジャー」
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名無しNIPPER
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2021/09/15(水) 22:29:31.65 ID:TCAbkAPj0
どれくらい走っただろうか、いつの間にか夕焼けの時間になり、東京湾が一望できる自然公園に着いた。
「いい景色だろ。アタシのとっておきの場所なんだ」
「……はい」
以下略
AAS
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名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:30:07.94 ID:TCAbkAPj0
落選したバンドは、その後の数週間、勝ち進んだ先輩たちの手伝いをすることになる。学校外で場所を借りて練習をするときの楽器運搬などが主な仕事だ。そんなこんなで忙しく過ごした時間もつかの間、9月の中頃に最終オーディションの結果が出た。
最終オーディションに残っていた3年生のバンドは、残念ながら落選してしまった。しかし唯一、木村先輩がいる2年生のバンドが見事オーディションを通過し、月末の生放送に出演することが決定した。
仲間の演奏が日本全国に生放送される。しかも音楽プロデューサーの目に止まればプロとしてデビューができる。この事実に部員全員が色めき立ち、大騒ぎになった。後から聞くと、あまりの騒がしさに書道部から文句が来ていたらしい。そんなの知るか。
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名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:30:36.14 ID:TCAbkAPj0
生放送当日、学校の体育館ではパブリックビューイングが行われた。といっても生徒と教師、保護者くらいしかいなかったけど。それでもミーハー心がくすぐられるのか、かなりの人が集まっていた。
そして、先輩のたちの出番が来た。
VTRでのバンドの紹介パートで高校の名前が出たときは、少しだけざわついた。VTRが終わっていざ、先輩たちが登場すると、かなりざわついた。間髪を入れずに演奏が始まる。
以下略
AAS
14
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名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:31:21.83 ID:TCAbkAPj0
――倉部さんでもやはり始めたばかりの頃は苦労されたのですね。しかし、後にプロになる人に教えてもらったからこそ、倉部さんの才能が開花したのかもしれませんね。
そうかもしれません(笑)。確かに先輩の指導はすごく分かりやすかったですね。先輩はいろんな事情があって実際にプロになることは出来なかったんですけど、どこかでギターの先生とかをしていたら嬉しいな、なんて思っちゃいますね。
15
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名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:33:22.82 ID:TCAbkAPj0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そう、木村先輩はプロにはならなかった。いや、なれなかった。
以下略
AAS
16
:
名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:33:52.15 ID:TCAbkAPj0
いつかの自然公園は交通の便がかなり悪いらしく、電車とバスを乗り継いでやっと到着した頃には夕暮れ時もそろそろ終わりという時間になってしまった。人通りはほとんどなく、駐輪場には青いバイクが一台だけ。やはりここにいるという直感は当たっていたようだ。
街灯を頼りに人影を探すと、あの時と同じ場所で座り込む木村先輩がいた。
「木村先輩!」
以下略
AAS
17
:
名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:34:17.12 ID:TCAbkAPj0
木村先輩がバンドを脱退した。それが先輩たちから聞いた事情だった。
打ち合わせ場所には、生放送の時にもいた音楽プロデューサーの他に、若い女性がいたらしい。そして先輩たちが席に着くや否や、メジャーデビューをするための条件を提示されたという。
「木村夏樹の脱退」と、「同席している女性ギタリストを新しく迎えること」の2点。これを飲まない限りデビューはさせてくれないとのことだった。
18
:
名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:34:44.61 ID:TCAbkAPj0
「先輩たちから全部聞きました! 俺にはなにも出来ないかもしれないけど、でも居ても立ってもいられなくて……」
「その通りだ! アンタにできることなんかひとっつもないんだからさっさと帰れ!」
「いつ帰るかなんて俺の勝手です!」
以下略
AAS
19
:
名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:35:14.52 ID:TCAbkAPj0
先輩が帰るのならば俺がここに居座り続ける意味もないのでバス停までの一本道を歩き始める。
「おい!」
しばらくすると、急に声を掛けられた。振り向くとそこは駐車場で、ヘルメットを被った木村先輩がバイクに跨っていた。
以下略
AAS
20
:
名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:35:42.52 ID:TCAbkAPj0
翌日から、木村先輩は部活に来なくなった。顧問の先生に聞くと退部届が提出されたらしい。部室からは誰も知らない間に木村先輩の荷物が無くなり、空いたスペースはすぐに他の人によって占領された。
教室に押しかけてもう一度話をしようとしたけど、何度通い詰めても教室から出てくれることはなく、俺の休み時間だけが消費されていった。
そんな生活を繰り返していると、ある日の休み時間、楽譜を読み込んでいる様子が教室の外から見えた。まだ音楽を続けているようで安心したのをよく覚えている。それならば俺がしゃしゃり出る必要もないと思い、教室通いはその日でやめにした。毎回先輩に取り次いでくれる強面の2年生にも申し訳なくなってきていたところだったし。
以下略
AAS
21
:
名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:36:11.76 ID:TCAbkAPj0
――それ以降その先輩と再会することはあったのでしょうか?
いや、一切会ってないですね。高校の近辺ではそこまでライブハウスの数も多くないですし、路上でやる場所も限られてるので活動してたら会わないはずがないんですけど。もしかしたら避けられてたのかもしれません(笑)。
――高校時代は先輩の影響を受けたとのことですが、高校を卒業した昨年にギタリストとしてデビューしました。その経緯について……
以下略
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