【デレマスss】木村夏樹「ファースト・パッセンジャー」
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15:名無しNIPPER[saga]
2021/09/15(水) 22:33:22.82 ID:TCAbkAPj0

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 そう、木村先輩はプロにはならなかった。いや、なれなかった。

 あの生放送の数日後、木村先輩たちは今後の打ち合わせのためにレコード会社へ打ち合わせに行っていた。デビューはいつになるか、どんな曲を出すのか、どんな方向性を目指すのか、そんな話をしているのだろうか。

 昼過ぎには学校に来ているかと思っていたが、結局先輩たちが学校に来たのは放課後、部活が始まって少し経ったくらいの時間だった。どうやら打ち合わせというものは存外時間のかかるものらしい。

 先輩たちが帰ってきたことを聞くや否や、部員総出で出迎える。みんなレコード会社でどんなことを話したのか気になっていたらしく、しばらく先輩たちは質問攻めにあっていた。が、テンションの高い部員たちに対して先輩たちの顔は浮かない。そして、なぜか木村先輩の姿も見えなかった。

 他の部員がある程度満足したのか各々練習に戻り始めたタイミングで、俺も先輩たちに話かけた。

「打ち合わせお疲れ様でした。あの、木村先輩ってどこに行ったんですか? バイクもないみたいですけど……」

「夏樹は……すまん、俺たちも分からない。打ち合わせが終わった後、一人でどっかに行っちまった」

「何かあったんですよね? 先輩たちもそんなに嬉しそうじゃないですし」

「ま、お前はずっと夏樹にべったりだったし気になるよな。ずっと黙ってられることじゃないし、倉部なら言ってもいいか。ただ、他の人にはまだ言いふらすなよ」

 先輩たちから聞いた事情は、俺には信じがたいものだった。あまりに信じられなくて、仮病を使ってそのまま部活を早退して、自宅とは反対方向の電車に乗り込んだ。


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