【デレマスss】木村夏樹「ファースト・パッセンジャー」
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名無しNIPPER
[saga]
2021/09/15(水) 22:35:14.52 ID:TCAbkAPj0
先輩が帰るのならば俺がここに居座り続ける意味もないのでバス停までの一本道を歩き始める。
「おい!」
しばらくすると、急に声を掛けられた。振り向くとそこは駐車場で、ヘルメットを被った木村先輩がバイクに跨っていた。
「早く来いって。置いていくぞ」
どうやら俺を待っていてくれたようだ。俺に投げつけてきたヘルメットは、雨が降ったわけでもないのに少し濡れていた。跡が残らないように服で水分をふき取ってから被る。後部座席に座るとエンジンが付いた。
「……バイクってうるさいですね。こんなのに乗ってたら先輩が独り言言ってても後ろの俺には聞こえませんね」
「……1年坊主にそんな生意気なこと言われる筋合いはないよ」
言い切るや否や発進した。エンジン音に紛れて先輩が何かを叫び始める。ただ、一つ忘れていることがあった。
やっぱり俺は耳が良いらしい。努めてエンジン音に集中することにした。
出発した時には気が付かなかったけど、学校に着く頃になると木村先輩からはいつか後部座席に乗った時と同じ、良い匂いがしていた。
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