1: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:17:49.14 ID:ZnT9OyOd0
P「土屋さん、好きです。僕とつきあってください!」
この男の子、後にPちゃんとアタシも呼ぶようになる、一週間前クラスに転校してきた男の子が、その日いきなりアタシに告白してきた。
後ろではさくらが「うわあ」とか言ってるし、いずみが男の子とアタシの反応を分析しようと凝視しているのがわかる。
いや、2人だけやない。道行く学生もヒソヒソと話しながら、こちらに視線を向けているのがわかる。
なんちゅうデリカシーのなさ!
普通こういうのって、2人きりの時するもんちゃうの?
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2: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:19:44.88 ID:ZnT9OyOd0
https://i.imgur.com/lBdyya0.jpg
https://i.imgur.com/fq7QDtq.jpg
土屋亜子(15)
https://i.imgur.com/8veJd20.jpg
3: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:21:40.72 ID:ZnT9OyOd0
亜子「おあいにくさまやけどな、アタシそういうの興味ないから」
P「そういうの、って?」
亜子「レンアイとかな、おつきあいゆうん、アタシ興味ないねん。それどこやないねんから」
4: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:22:38.38 ID:ZnT9OyOd0
P「もう誰かとつきあってたらどうしようと思ってたけど、良かった。安心した」
亜子「いや……そうやないのよ。アタシは別に誰ともつきあわへん言うてんの!」
P「それは一生?」
5: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:23:26.00 ID:ZnT9OyOd0
亜子「こないデリカシーのない男の子が、頭いいはずあらへんやんか!」
P「デリカシーと知性に関連性はない。むしろ、天才と呼ばれるような人物は往々にして常識の外にいると歴史も示唆している」
後ろでいずみが大きく頷いてるのがわかる。いずみ、アンタどっちの味方やの? さくらは相変わらず嬉しそうにしているし。
6: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:24:37.45 ID:ZnT9OyOd0
亜子「待った、さくら。なんも言わんでエエから。いずみも」
村松さくら「アコちゃんすごいねえ、良かったねえ」
7: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:25:49.04 ID:ZnT9OyOd0
亜子「おつきあいなんかせえへん、言うたやろ?」
さくら「言ってたかな、イズミン?」
泉「言ってない」
8: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:28:31.66 ID:ZnT9OyOd0
泉「大切で大好きな親友が、異性からも魅力的であると認められ、それに対し勇気ある行動までとらせたことは単純に嬉しい」
亜子「え?」
さくら「わたしも! アコちゃんが可愛くてステキだって言われたみたいで嬉しいよぉ?」
9: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:29:48.48 ID:ZnT9OyOd0
〜2週間後〜
泉「トップ……とっちゃってるね。彼」
10: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:30:29.60 ID:ZnT9OyOd0
亜子「あ、あの……」
P「どうかな?」
亜子「あ、あた、アタシは……」
11: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:31:39.32 ID:ZnT9OyOd0
泉「悪手」
亜子「言いたいことはわかるけど、言わんといて……」
12: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:32:38.90 ID:ZnT9OyOd0
その彼が、実際に1ヶ月後にはテニスで全国中学生大会に出場し、全国優勝をしてしまったことにアタシは呆然とした。
いや――実を言うと、いずみやさくらにナイショで全中のテレビ中継を見て、不覚にもアタシはときめいてしまった。
なんや、かっこエエやんか。
準決勝でのピンチ、アタシは思わず声を出して応援をしてた。
お母さんがビックリしてアタシの方を見たため、慌ててテレビを消したけど、後で無事に勝ったことを知り、自分でも不思議なほどホッとした。
13: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:34:33.77 ID:ZnT9OyOd0
P「君のために取ってきたんだ」
トロフィーを手渡され、アタシは真っ赤になってもうた。
ホンマこのPちゃんは、デリカシーがない。遠慮も忌憚もてらいもない。
しかしアタシもアタシで、ついトロフィーを受け取ってしまう。
14: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:35:21.84 ID:ZnT9OyOd0
亜子「……や」
P「え?」
亜子「男はな、成績でもスポーツでもない、お金や! 経済力や!!」
15: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:35:57.17 ID:ZnT9OyOd0
泉「亜子」
亜子「反省してます……」
16: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:37:17.16 ID:ZnT9OyOd0
アタシたち3人は、お互いが最初の友達で、幼なじみで、ご近所さんやった。
おない歳の、気の合う、それでいて質の違うアタシたちは、親友と自他共に認める間柄だ。いや、親友を越えて家族にも等しい心情を持っている。
だが同時にアタシたちは、それぞれの家庭の問題も抱えている。
17: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:39:09.96 ID:ZnT9OyOd0
亜子「な、高校も3人、おんなじトコ行こうな」
泉「うん。約束だよ」
さくら「わぁい。高校でもみんな、いっしょだね」
18: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:40:31.48 ID:ZnT9OyOd0
さくら「アコちゃん、あったよ洗剤。広告の12%引きっていうの」
亜子「ありがとうな、さくら。よし、これで買い物バッチリや。せやろ? いずみ」
19: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:41:21.76 ID:ZnT9OyOd0
さくら「2等は……ぶつぞう?」
泉「もらって嬉しいかな? 仏像」
亜子「しかもけっこう大きいなあ。これ、売れるかな?」
20: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:42:17.66 ID:ZnT9OyOd0
亜子「よっしゃ! ほんならやっぱり、狙うは1等や。稲取温泉の宿泊券を換金して、いずみの本を買うたるわ!!」
さくら「仏像さんも、お願いしまぁす」
泉「欲しいの!?」
21: ◆hhWakiPNok[saga]
2021/01/31(日) 10:43:03.29 ID:ZnT9OyOd0
店員「黄色は6等、カラオケボックス青波の2時間無料券+ドリンク飲み放題券です」
亜子「あらら……」
泉「ふふっ、まあそううまくはいかないよね」
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