53:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:30:31.84 ID:uyzFntxd0
「えっと、すごく、喜んでくれたよ」
妙にたどたどしく豊橋は言った。本当かよ、デブに鞭打った割に微妙で気を遣ってるとかないよな。
54:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:31:23.59 ID:uyzFntxd0
そうこうしているうちに始業のチャイムが鳴り、生徒たちが自分の席につく。程なくして几帳面な性格をしている担任の先生がやってきて、新年に関するありがたいお言葉や訓示をのたまう。
それから、こう言った。
55:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:32:33.53 ID:uyzFntxd0
ともあれ、先生が事前に用意しておいたくじを引き、これからしばらく運命を共にする席へと生徒たちは案内される。
くじを引くのは五十音順。先生が出席簿を片手に、「じゃあまずは飯田からだな」と生徒を呼びつける。
56:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:33:26.22 ID:uyzFntxd0
くじには窓際から二番目の列の最前席を示す番号が書かれていた。俺は天を仰いだ。オージーザス。神よ、私の何が気に入らなかったと申しますか? このお腹か?
がっくりとうなだれた俺を置いて、時間は進んでいく。豊橋がくじを引く時だけは厳粛な神社で初詣をしているような空気になったけれど、つつがなく、滞りなくくじ引きは終わった。
57:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:35:58.31 ID:uyzFntxd0
そして右隣の窓際最前列に視線を移せば、
「……よろしくね、辰野君」
58:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:37:11.56 ID:uyzFntxd0
新年だから心機一転、環境を変えよう。そういうのに相応しくないような結果な気がしないでもない。
でも、俺のウエストは去年より三センチ大きくなったし、バイトの時給もちょっと上がったし、席が前になって頭が良くなりそうだったし、友達も増えたし――
59:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:38:29.82 ID:uyzFntxd0
だから俺は笑いながら言葉を返すことにする。
「バーロー、話しやすい友達が近くて、コミュ障の俺には大助かりだわよ」
60:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/24(木) 06:40:07.39 ID:uyzFntxd0
参考にしました
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