22:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:49:19.49 ID:66ORp3Ez0
勇者「僕はどうやって彼女の力を封じているか聞いただけです。
どうして、どうすれば彼女の力を戻せるか教えてくれたんですか。」
兵士「理由なんてねえよ!それを知りたかったんだろうが!他意はねえよ、本当だ!」
23:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:51:30.16 ID:66ORp3Ez0
勇者「どうして、彼女をあんな目に合わせてるんですか?」
質問を続けると、兵士は落胆したようにため息をついて言った。
兵士「お前たちはこいつの何なんだ。知り合いか?」
24:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:52:12.09 ID:66ORp3Ez0
勇者「嘘をつかないでください。彼女の体を見れば、あなたたちが彼女のことを散々おもちゃにしてきたことくらい分かります。」
兵士「ああ、そうだよ。あの女にはたっぷり楽しませてもらったよ。
俺たちは魔法や呪いで従わせて利用するために、痛めつけて抵抗力を奪うように上から命令された。
その方法については指定されていないし、ある程度自由に扱っていいと言われたからそうしたまでだ。
25:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:53:23.61 ID:66ORp3Ez0
兵士「お前らの方こそこんな事をしてただで済むと思ってるのか?」
ニヤリと笑みを浮かべて言う。
兵士「俺たちはこの国の正規兵だ。お前らは犯罪者なんだよ。あの女だってこの塔から連れ出したところで・・・っ!」
26:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:54:26.12 ID:66ORp3Ez0
勇者「・・・どんな気分でしたか?」
戦士「なあ、おい。聞いてんのかよ。」
勇者「もう少し。もう少し待ってくれ。僕は知らないといけないと思うんだ。一体何が起きていたのか。どうしてそんなことが起きてしまったのか。」
27:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:56:22.67 ID:66ORp3Ez0
兵士「言わねえ。[ピーーー]ならとっとと殺せ。」
勇者「命は取りません、安心してください。」
兵士「信用できねえな。」
28:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:57:37.32 ID:66ORp3Ez0
勇者「それでも、僕は理解したいと思っています。教えてください。あなたの親しい人が、あなたのしたことを知ったらどう思うと思いますか。」
兵士「うるせえな。親しい奴なんていねえよ。[ピーーー]ならさっさと殺せ。いつまでもくだらない質問してんじゃねえよ。」
勇者「僕はあなたに危害は加えません。」
29:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:58:27.35 ID:66ORp3Ez0
「まだやってたのかよ。そろそろずらかるぞ。」
戦士が戻ってきて、そう声をかけた。
勇者「ああ、そうだね。出ようか。」
30:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:59:15.79 ID:66ORp3Ez0
塔を出ると、ちょうど朝日が昇り始めていた。憂鬱な自分の心とは対照的に、透き通るように爽やかな光景が広がっている。背中で眠っている彼女にこの光景を見せられないことが残念だった。
勇者「綺麗だなあ」
戦士「そうだな。」
31:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 23:00:23.42 ID:66ORp3Ez0
戦士「お、起きたみたいだぞ。」
焚火を囲んで朝食を食べているときに戦士が言った。
魔法使いが目を覚ましたようだ。魔翌力を封じる薬は、彼女が眠っていたため飲ませられなかった。
しかしもうとっくに日は昇りきっているにもかかわらず、魔翌力が暴走する様子は見えなかった。どうやら杞憂だったようだ。安心させようと、彼女の手を握る。
32:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 23:01:44.13 ID:66ORp3Ez0
魔法使い「ありがとう。でも今はちょっと、人に食べさせられたくないの。手に持たせてくれない?」
口を開けて、と書こうとしたら彼女が困ったような顔で言った。確かに監禁されていたときは無理やり口に押し込まれていてもおかしくない。配慮が足りなかったな、と反省して彼女のもう片方の手に焼き魚を持たせる。
『熱いから気を付けて』
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