空銀子「竜王の側室にでもなるつもり?」夜叉神天衣「否定はしないわ」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:25:47.47 ID:H0ikd4c1O
たとえば、九頭竜八一と私がそれぞれ別々の師匠の元へと弟子入りしたとして。

小さい頃から内弟子として長い長い時間を共有していなければ、どうなっていただろう。

師匠である清滝鋼介から教わったことは数え切れないほどあって、棋風は元より将棋に対する姿勢や考え方は私も八一も師匠の影響を多分に受けている自覚はある。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:27:41.53 ID:H0ikd4c1O
「銀子ちゃん、何か飲む?」
「ん」

差し出されたメニューから飲み物を選んだ。
訪れたショッピングモールの中で、どこにでもあるチェーン店の喫茶店に立ち寄り、そこで弟弟子の八一とひとときを過ごす。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:29:33.78 ID:H0ikd4c1O
「最近、小童どもと何かあった?」
「へ? い、いや、別に……何も」

姉弟子の私に恭しくケーキを献上した弟弟子はどこか気が抜けていてぼんやりしている。
その表情が八一の対局を気にかける師匠と重なり、直感で弟子について尋ねてみたが、どうやら図星だったらしく、目を泳がせた。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:32:26.64 ID:H0ikd4c1O
「でも、それはあくまでも憧れでして……」
「憧れって意味なら、私も入門したその日から師匠に恋をしていると言えなくもないわ」
「あのジジイ。逆破門してやる!」

私と同じく憤慨した様子の八一を眺めて溜飲を下げて、閑話休題。本題へと移ろう。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:38:26.45 ID:H0ikd4c1O
「だいたい、銀子ちゃんはズルいよ」
「へ?」
「性格最悪な癖にさ。テレビに映る時だけは澄ましちゃって。あれじゃあ大きなお友達が群がるに決まってるじゃん。ほんと酷いよ」
「おいこらワレ。喧嘩売ってんの?」

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:40:23.19 ID:H0ikd4c1O
「嫉妬なんて無意味よ」

八一の気持ちはわかる。痛いほどに。
それでもそれは要らぬ心配なのだ。
私自身、主に八一の節操の無さが理由で幾度も『熱い』嫉妬の炎で身を焼き焦がしてきたので、どの口が抜かすのかと思われるかも知れないが、これだけは言わせて貰おう。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:41:56.14 ID:H0ikd4c1O
「あっ……ごめん。ついムキになって」
「バカ八一」
「ごめんってば」

声が震える。嬉しさと、そして、"恐怖"で。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:45:14.95 ID:H0ikd4c1O
「お客様、そろそろ閉店のお時間です」

結局、それから閉店まで暗譜で指し続けた。
何度負けても萎えることはない熱さがある。
熱い。この"熱"を好きな人を共有することが出来て私は嬉しかった。店を出ると八一が。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:47:06.21 ID:H0ikd4c1O
「そこの黒いの、あんたの師匠が余計なお世話だって言ってるのがわからないの?」
「そう仰らずに、お乗りくださいなお姉様」

猫撫で声に怖気が走る。なにを企んでいる。

以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/08/14(金) 20:49:31.52 ID:H0ikd4c1O
「ど、どうしちゃったんだよ、天衣」

突然嗤いだした弟子に困惑する師匠の八一。
しかし、私は知っている。この小学生をここまで歪ませたのは他ならぬ八一であると。

以下略 AAS



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