268: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:05:28.78 ID:TbDVBCa4O
鋭い南国の陽射しに、俺は思わず身を捩った。
体力はまだ回復しきっていない。「音速剣」に、2倍速での「零勁」2発。さらにその後も「腐蝕」を使っている。戻りきるまでには、あと1日はかかるだろう。
壁に掛かった時計を見ると、正午の半刻前だった。本当はまだ寝ていたかったが、部屋の暑さと明るさはそれを許しそうにもなかった。
269: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:06:27.28 ID:TbDVBCa4O
緑髪の小柄な女が飛び付いてきた。俺はそれをひらりと交わす。
ドスン、と壁にぶち当たると「いてて……」と女が額をさすった。
「酷いじゃないですかぁ、20数年ぶりの再会ですよ?」
270: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:07:22.26 ID:TbDVBCa4O
デボラが訝しげに彼女を見た。
「……このお子様、知り合いかい?」
「お子様じゃないですぅ。これでも27、適齢期の乙女なんですから。
271: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:07:59.54 ID:TbDVBCa4O
「分かった。2点目。俺たちを保護するなら、なぜエリザベートが来る必要がある?第三皇女とはいえ、そいつは貴人だ。お前なら、これがいかに危険な案件か理解しているはずだ」
「それは私から」
エリザベートが軽く手を挙げた。
272: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:08:51.38 ID:TbDVBCa4O
「……『六連星』?」
「ま、知るわけねえわな。これは、王族など一部しか知らねえ最上級機密事項だ。……ん」
ランパードの視線がデボラに向いている。顔色が青ざめているのが分かった。
273: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:09:20.84 ID:TbDVBCa4O
「……デイヴィッドという男も、その一人か」
「……!!やはり会ってたか」
274: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:10:40.00 ID:TbDVBCa4O
「……まあ、お前さんにとっては因縁の相手だな。向こうにとってもそうだろうが」
「……奴もここに?」
「いや、そこまでは知らねえんだ。まあ、デイヴィッドが来てるならすぐに分かるだろうが。手段を選ばねえからな」
275: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:11:43.25 ID:TbDVBCa4O
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月明かりの中、事切れたファリス・エストラーダの手を小娘が握り続けていた。
「……もう、いいだろう」
276: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:12:11.64 ID:TbDVBCa4O
「自分の命と甘ったるい感情のどちらが大事だっ!!!」
277: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/09/18(金) 21:12:39.75 ID:TbDVBCa4O
小娘の身体がビクッと震えた。唇を噛み、嗚咽しながら俯く。
「そんなの……哀し過ぎるっ……!」
「だが、他の選択の余地は、ない」
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