68:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 22:03:56.87 ID:qe4+sBJv0
「だから、自分のことを悪魔なんて言わないで。」
花丸はヨハネの腰のあたりにぎゅっと抱き着いた。
「ヨハネちゃんは私の天使だよ。」
「花丸……。」
徐々に抱き着いた花丸が体を預けてくる。
「ヨハネちゃんがどっか行っちゃったら、マルも死んじゃうんだって。だから、ヨハネちゃんはどこにも行かないでね。」
花丸の体は熱を帯び、息づかいは荒くなっている。
「……ええ。ずっと一緒よ。」
ゆっくりと花丸に膝枕をしてあげる。
「ヨハネちゃん、マル眠くなって来ちゃった……。」
ヨハネの優しそうな微笑みから、一筋の涙が流れる。
(私の命を全て擲っても構いません──。どうか、あとほんの少しだけこの子に時間をください──!)
ヨハネが願った途端、黒く艶やかに光っていた翼と尻尾が白く光り輝き、ヨハネと花丸は白い光に包まれた。
「花丸、私こそあなたと出会えて本当に楽しかったわ。」
頬を伝っていた涙が、白い滴となって花丸に落ちる。
白く輝いていた翼と尻尾が、端の方から少しずつ空に溶け込むようにして消えていく。
「あなたに会えて、誰かを愛することがわかった気がするの。」
急速に目の前が暗くなっていく。白い滴が花丸に落ちる度に、身体から力が抜けていく。
白く輝いていた翼と尻尾は、もう半分ほど空に消えている。
「だから花丸、ありがとう。」
そう言うと、ヨハネは花丸の額にそっとキスをして、そのまま花丸の頭を優しく撫で始めた。
やがて、花丸を撫でる手が緩やかになり、翼と尻尾が全て空に消えた時には、ヨハネは微笑みを湛えたまま動かなくなっていた。
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