【バンドリ】氷川紗夜「ラーメンが食べたい」
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42:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:43:05.03 ID:z07AMiQQO

 ――コンコン、と、不意に響いたノックの音に、頭に浮かぶ過去の風景画が色を失う。

「おねーちゃーん、まだ起きてるよねー?」

以下略 AAS



43:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:43:33.60 ID:z07AMiQQO

「お酒、買えたの?」

「彩ちゃんに買ってもらった!」

以下略 AAS



44:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:44:02.40 ID:z07AMiQQO

「随分買ってきたわね」
「せっかくだからね!」
「なんのせっかくよ」
「んー、おねーちゃんとの初体験のせっかく?」
以下略 AAS



45:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:45:21.55 ID:z07AMiQQO

 そんな無駄話をしながら、日菜は銀色の缶ビールのプルタブを引く。カシュッ、と炭酸の抜ける勢いがいい音。その勢いのままグラスにビールを注いで、

「うわぁ、すっごい泡立つ」

以下略 AAS



46:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:46:37.76 ID:z07AMiQQO

「えー、CMとかだとあんなに美味しそうなのにー……」
「飲み方があるのかしら」
「あっ、そういえばそうかも! ビールは一気に飲み込むものだ、なんてお父さんも昔に言ってた気がする!」
「CMでもやたら喉越しが強調されているし、それがいいのかもしれないわね」
以下略 AAS



47:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:48:03.88 ID:z07AMiQQO

 グラスにはまだビールがたくさん残っている。こうしてみると、泡だらけの日菜の方がまだマシだったかもしれないな。そう思いながら、再びグラスに口をつけて一口、今度は一息にビールを喉へ通す。

 炭酸が喉を抜けて、少し熱く感じるアルコールが身体の中にすっと落ちていく。苦味は感じるけれど、少しクセになりそうな感覚だった。

以下略 AAS



48:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:49:05.12 ID:z07AMiQQO

 ビールを飲み切って、各々目についたお酒をグラスに注ぐ。日菜は楽しそうな顔をして焼酎をジュースで割って飲み、私はウイスキーという響きにそこはかとない大人っぽさを感じて、それを炭酸で割って飲む。

 確かこういうのはハイボールと呼ぶんだったかしら。うすしおとコンソメのポテチを開封しようとしている日菜を見ながら思う。口から鼻に抜けていく燻されたような風味と喉を通り抜ける炭酸の刺激が、なかなか好みだった。

以下略 AAS



49:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:50:01.93 ID:z07AMiQQO

「海」
「うん?」
「昔のことを思いだしたわ」
「それで海?」
以下略 AAS



50:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:51:03.27 ID:z07AMiQQO

 その日を頭に思い浮かべる。

 中学生という、純粋な子供から小賢しい子供への過渡。思春期真っただ中の自意識はやけに神経過敏で、特に劣等なんていう厄介なものを一つ屋根の下に感じ続けていた私は、毎日を面白くない顔で過ごしていたことだろう。

以下略 AAS



51:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:52:10.11 ID:z07AMiQQO

 そして思いついたのが、ひとりで海に行くこと。お父さんやお母さんの手も借りず、友達の手も借りず、自分だけの力で特別を成し遂げるんだ――なんていう一世一代の決意を秘めた逃避行。

 なんともまぁ、可愛らしい決起だ。

以下略 AAS



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