51:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:52:10.11 ID:z07AMiQQO
そして思いついたのが、ひとりで海に行くこと。お父さんやお母さんの手も借りず、友達の手も借りず、自分だけの力で特別を成し遂げるんだ――なんていう一世一代の決意を秘めた逃避行。
なんともまぁ、可愛らしい決起だ。
初夏のころだと思っていたけれど、日菜が言うのであればきっと今くらいの時期だろう。
学校から帰ってきてスクールバッグを部屋に放った私は、息を殺して廊下に出た。そして制服のまま、誰にも見つからないようどきどきしながら忍び足で家の中を歩き、玄関の扉を静かに開いた。
だけどその先にはよりにもよって日菜がいて、「おねーちゃん、どこか行くの? あたしも一緒に行く!」と言って聞かない声に、いつお母さんがこの逃避行に気付くのかとびくびくした私は、結局同行を許さざるを得なかった。
「……いいけど、絶対に誰にも言わないで。内緒の話だから」と言って、私は渋々頷いた記憶がある。
「内緒! おねーちゃんと内緒のおでかけ!」日菜はそう言って、楽しそうに笑っていた。
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