28: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:47:07.85 ID:nY0iWbpOO
「いつかはまた2人での仕事もとってくるつもりでいたけど……」
カボチャよりもスイカの方がムードに合いそうな炎天下の中車を走らせる。いつも聞いていたカーラジオは何も流れず静かな車内というのは地味に新鮮な気持ちだ。
「なんだか、魔法にかかったみたいですね」
29: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:49:12.42 ID:nY0iWbpOO
「でもそれなら、美嘉ちゃんや他のMasque:Radeのメンバーがいないです」
ここにいるみんなと、いないみんな。あるなしゲームのような何かが共通点としてあるのだろうか。それにその中だと亜季の存在がイレギュラーだ。確かに以前美穂と一緒に廃校になる学校の思い出作りに行ったけど、そこで歌ったわけじゃないしそれならば奏がここにいるはずだ。
「……でも、亜季って美穂と同じ誕生日だった、よね?」
30: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:49:45.97 ID:nY0iWbpOO
「お疲れ様であります、プロデューサー殿。何か発見がありましたか?」
「いや、こっち側はずっと海しか見えなかった。それどころか、地図だとこの辺りか? そこから先は海で阻まれたみたいになっていて、進めなかった」
車を走らせて1時間くらいだったか。まるでゲームの背景みたいに大きな海が行方を遮って先に進めなかった。距離にするとどうだろうか。周りに船がある様子もなく、これ以上の探索は難しいと悟った俺たちは藍子のカメラに映った大きな鯨以外の土産を持って帰ることができなかった。
31: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:52:28.37 ID:nY0iWbpOO
「すみません美穂殿。一応お店の中の目立つところにこの事務所に人がいると張り紙をして来たのでそれを見た人がこちらに来るかも知れません。待機組はどうでしたか?」
「待機組も誰かくるかなって思って待ってましたが誰も来ませんでした。もしかしたら、今ここにいるのが全員……なのかもしれません」
「肇……」
32: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:53:09.62 ID:nY0iWbpOO
「ふぅ……ん? 肇、悠貴、どうした?」
空き部屋に荷物を置いてもう少し散策をしようかと考えていると2人が部屋の前で何やら考え込んでいる姿が見えた。
「この部屋は?」
33: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:54:58.09 ID:nY0iWbpOO
「しかし芳乃の石像か」
神殿に飾れば崇め奉る人が集まりそうだな、と不謹慎なことを考えると顔に出ていたのか肇と悠貴はやや引いた顔をしている。
「でももしかしたら他のみんなも芳乃みたいに石像があるかもしれないな……後でみんなで手分けして部屋の中見てもらっていいかな? 流石に俺が何度も何度も女の子の部屋開けるわけにはいかないからね」
34: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:56:06.21 ID:nY0iWbpOO
「亜季さん、このカレーですけどスパイスをどんな配分で入れたんですか? 今後の為にも教えてください」
「お嫁さんにしたいアイドル殿堂入りの響子殿にそこまで言われるとは! いやはや、ネイビー冥利につきますな!」
「オレガノ、シナモン……あと何でしたっけっ? ヒトリデデキルモン?」
35: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:56:41.84 ID:nY0iWbpOO
「芳乃ちゃんがここにいるのって、変じゃないですか?」
「ん? どういうこと?」
「確か芳乃ちゃんって泊まりで地方のロケに行ってましたよね。美嘉ちゃんと李衣菜ちゃんと一緒に」
36: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:58:35.31 ID:nY0iWbpOO
「東京でも、こんなに星が見られるんだな」
人工の光はほとんど消えた元都会の砂浜の上を満点の星空が見守っている。えっと、あれがデネブアルタイル……。
「ベガですよ、プロデューサーさん」
37: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:59:50.63 ID:nY0iWbpOO
「プロデューサーさん……これ夢なんでしょうか?」
「なあ美穂。俺のほっぺつねってくれないか?」
「あの、私のほっぺもつねってもらって良いですか?」
38: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:01:04.65 ID:nY0iWbpOO
「早起きしてジョギングしようと思ったんですっ。でも流石にこんなに雪が降っていたら難しいですね」
一晩あければ悪い夢が醒めてくれることを期待していたのに、待っていたのは余計意味不明な光景。女子寮ごと北国にワープしてしまった感覚に陥ってしまうが周りの風景は昨日と変わりがない。
「今日李衣菜殿と美嘉殿の家に行くんでしたよね? しかしこの天候、まともに運転できなさそうですが冬用タイヤの用意はあるのですか?」
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