32: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:53:09.62 ID:nY0iWbpOO
「ふぅ……ん? 肇、悠貴、どうした?」
空き部屋に荷物を置いてもう少し散策をしようかと考えていると2人が部屋の前で何やら考え込んでいる姿が見えた。
「この部屋は?」
「芳乃さんの部屋なんですけど……その、見てもびっくりしないでくださいね?」
「何が……!? な、なんだこれ!?」
ガチャと空いた部屋の中は和風な調度品で揃えられている。それ自体はおかしな話ではない。真ん中に依田芳乃の等身大石像がなければ、の話だが。
「これ、芳乃なのか? 石像……?」
「そうみたいです。その、さっきこの部屋から変な音がして。通りかかった肇さんと一緒にのぞいたら、芳乃さんの像が置かれてたんですっ」
ゲームのバッドステータスに石化ってのをよく見るけど、まさか目の当たりにしてしまう日が来るなんて。
「……一応聞くけど芳乃に自分の石像を愛でる趣味は」
我ながら脚線美でしてー、と恍惚の表情で石像を舐め回すように撫でる芳乃を想像してみたけど無理がある。
「そんな変な趣味は持ってませんよ……多分」
「芳乃さんがいくらミステリアスな人でもここまでじゃないですっ」
「ですよねー」
親しき仲でも話せない趣味はあったりするけども、芳乃に限ってそんな胡乱な趣味はないだろう。じゃあこれは一体なんなんだ? 芳乃もこの世界に最初からいたのか? だけどバジリスクかコカトリスにでもハチあって石にされた? もしそうならば、女子寮だって安全じゃない。用心するに越したことはなさそうだ。
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