37: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:51:05.12 ID:clFucneV0
思えば、この男はいつだって間が良い。
狙いすましたような、その瞬間しかありえないような、そんなタイミングを引き当てる。
38: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:52:43.23 ID:clFucneV0
「学校の先生だって、卒業しても先生って呼んじゃうし、別におかしいことないでしょ?」
「まぁ、その理屈で言えばそうか」
39: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:53:47.84 ID:clFucneV0
「なんか、こんなこと言うと変な話だけど、プロデューサーも人並みに人間なんだな、って私は思ったよ」
「どういうことなの、それ」
40: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:54:48.44 ID:clFucneV0
「私に会えて、嬉しい?」
「嬉しい。かなり」
41: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:55:37.34 ID:clFucneV0
「でも、その、なんだろう。いなくなったら探してもらえるくらい大事に思ってもらえていた、ってのは嬉しいもんだな」
「これからはそういう悩み事は私に言いなよ。聞いてあげるから」
42: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:56:27.13 ID:clFucneV0
「気付いてなかったの?」
「何が?」
43: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:57:06.05 ID:clFucneV0
そのとき、彼が大きく一歩を踏み出して、私の前に立ち塞がる。
「何?」
44: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:57:34.94 ID:clFucneV0
ぐっ、と力を込めて足の甲を踏んでやると、彼は「いてぇ」と間の抜けた声を上げる。
そうして私も鞄から携帯電話を取り出して、連絡先を交換した。
45: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:58:00.96 ID:clFucneV0
きっと。
私たちはこの工程を踏む必要があったのだろう。
46: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:59:22.33 ID:clFucneV0
終わりです。
47:名無しNIPPER
2019/12/09(月) 01:51:12.10 ID:2WA04Ytw0
良かった
ありがとう
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