45:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:43:51.61 ID:QXbKSZYO0
明確なミスをした訳ではない。
レッスンを終えた後、トレーナーから私達に対し、改善点の指摘があった。
私への指摘の方がアーニャさんのそれよりも多かったため、私はそれを勝敗の判断基準とするよう提案したのだ。
「どうして、と言われても……実力の差としか、言いようがないと思います」
46:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:45:29.41 ID:QXbKSZYO0
「チヨは、笑えます。だって」
アーニャさんは、握った私の手を自身の頬に近づけた。
「アーニャに、ズヴェズダを教えてくれる時のチヨ、笑っていました」
47:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:46:52.67 ID:QXbKSZYO0
なぜあんな事を言ったのだろう――。
自室に戻ってから、椅子の上で一人自問している。
「あ、千夜ちゃんいた。ねぇねぇ千夜ちゃん♪」
48:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:48:24.15 ID:QXbKSZYO0
金色の長い髪をだらんと垂らし、上から覆いかぶさるように、お嬢様のお顔が私の目の前に現れた。
「お、お嬢様……お越しになられていたのですか。申し訳ございません」
「ううん、いいよ。
珍しいね、気ぃ遣いの千夜ちゃんが自分の世界に籠ってボーッとするなんて」
49:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:51:19.65 ID:QXbKSZYO0
てっきり、346プロ所属のアイドル達によるライブイベントの映像かと思っていた。
だが、実際に見てみると、収録されているのは他社のプロダクションが主催するライブのようだ。
お嬢様の話によれば、貸した当人はDVDを間違えた認識は無かったようで、業界研究用ではなく、あくまでプライベート用に持っていたものだという。
筋金入りのアイドル好きなのだろう。
50:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:54:02.19 ID:QXbKSZYO0
――――
――夢か。
51:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:55:56.23 ID:QXbKSZYO0
――――。
携帯にセットした二つ目のアラームの音に、起こされる。
いつの間にか、布団に入って眠っていたのか。
52:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:57:05.86 ID:QXbKSZYO0
* * *
「李衣菜チャン! 今日はみくが早起き勝負に勝ったから、一日みくの言うこと聞くにゃ!」
「そんなのズルいよ! 昨日私が早く起きた時はそんなの言わなかったくせに!」
「ちゃんと約束したもん! つべこべ言わずに猫チャンになる!」
53:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:00:50.85 ID:QXbKSZYO0
「しーぶりん! 朝ごはん食べたらランニングしよう、ランニング!」
「やってもいいけど、私は競走なんてしないからね」
「な、何で!? 人はなぜ走るのか、考える脚だからである。
じゃあしまむーやろうよ! 勝った方が今日一日私をちゃん付けね!」
「うえぇっ!? わ、私は普段からちゃん付けですし、そもそも未央ちゃんが勝つの前提……!」
54:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:02:18.06 ID:QXbKSZYO0
「そこまで憂慮すべき事態でもないと考えています」
この風潮について、何となく申告してはみたが、コイツはどうも楽観視している。
「お前は、メンバー同士の穏やかならぬこの状況が、プロジェクトとして問題ではないと思っているのですか」
55:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:04:14.01 ID:QXbKSZYO0
合宿の始期から当日までの、メンバー各々の予定とレッスン日程がビッシリ示されている。
それまで他人事のように捉えていたものが、白雪という名前を見ると、ようやく我が事としての実感が湧いてくる。
「白雪さんは、このセットリスト、いかがでしょう」
「経験がないのに、聞かれても答えられるはずがありません」
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