白雪千夜「足りすぎている」
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55:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:04:14.01 ID:QXbKSZYO0
 合宿の始期から当日までの、メンバー各々の予定とレッスン日程がビッシリ示されている。
 それまで他人事のように捉えていたものが、白雪という名前を見ると、ようやく我が事としての実感が湧いてくる。

「白雪さんは、このセットリスト、いかがでしょう」
「経験がないのに、聞かれても答えられるはずがありません」

 紙を返した。私は与えられた役割を果たすだけだ。

「一応のプロであるお前が良いと判断したのなら、それに従うのが現時点での最善です」

 私がそう言うと、コイツは首の後ろを掻いた。
 照れているのではない。なぜ、コイツは今困った仕草をしたのだ。

「どうか、皆さんの自発性を……「我」の強さというものを、あまり悪く思わないでください」

 コイツは頭を下げた。
 仕事の都合で、しばらく合宿の場から離れるらしい。そのための予定表か。


 いかに技能向上が望ましいとはいえ、戦わないに越したことなどないはずだ。
 競争など、くだらない。



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