1:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/04(月) 22:06:19.70 ID:c2i0tNU+O
サッカー部での喧嘩で高校を退学した俺は、上京してビッグな男になるつもりだった。
高校の先輩のツテでキャバクラのボーイをしながら金を貯めて念願の愛車を手に入れた。
TOYOTAのセリカ。
しかもただのセリカじゃない。ST205型。
255馬力仕様のGT-FOUR だ。
ラリーでの活躍は言うに及ばず、4つ目で滑らかなその特徴的なクーペのフォルムはデートカーとしても充分使用可能であり、ビビっときた。
しかしながら物欲を優先するあまりちっとばかし先走っちまって、店の金に手をつけた。
それがバレてクビになり、地元に戻ってきた。
まあ、何はともあれ愛車は手に入れた。
ビッグな男にはなれなかったが、欲しいものはこの手に掴んだわけだ。だから後悔はない。
あとはこの最高のクルマに見合う最高の女でも隣に乗せて、ついでにその女に金を稼がせて悠々自適な暮らしをしようと考えていた矢先。
「……なつき?」
立ち寄ったハンバーガー店で昔付き合っていた茂木なつきと偶然にも再会を果たした。
「御木先輩……」
久しぶりに会ったなつきは、色っぽかった。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/04(月) 22:07:58.93 ID:c2i0tNU+O
「久しぶりだな……大人っぽくなって驚いたぜ」
「御木先輩も……変わったね」
そうとも。俺は変わった。
東京に出て世の中の厳しさを知った。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/04(月) 22:09:58.74 ID:c2i0tNU+O
「クルマ……買ったんだね」
「おお、良いクルマだろ?」
程なくしてなつきのバイトが終わり、俺はドライブがてら秋名山へとクルマを走らせた。
田舎に戻ってきた経緯については仕事をクビになったことは伏せて正月休みで戻っていることにしておいた。その方がドライブを楽しめる。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/04(月) 22:11:31.03 ID:c2i0tNU+O
「ん? 降ってきやがったな」
しばらく山を登っていくと、雪が降り出した。
高いスタットレスに代えといて良かったぜ。
しかも、このセリカ GT-FOUR は4WD。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/04(月) 22:12:51.88 ID:c2i0tNU+O
「なつき、俺とよりを戻せよ」
気づくと俺はそのようなことを口走っていた。
なつきは美人だ。間違いない。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/04(月) 22:14:36.91 ID:c2i0tNU+O
「……停めて」
「ちっ……わぁーったよ」
気まずい沈黙が流れて、頭を冷やした。
流石に今の態度は自分でもどうかと思う。
12Res/14.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20