4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/04(月) 22:11:31.03 ID:c2i0tNU+O
「ん? 降ってきやがったな」
しばらく山を登っていくと、雪が降り出した。
高いスタットレスに代えといて良かったぜ。
しかも、このセリカ GT-FOUR は4WD。
つまり四輪駆動車なので、雪道には強い。
そのことを説明というか自慢したくてウズウズしていると、なつきはなにやら物憂げな顔で窓の外を眺めていて、不覚にもドキッとした。
「なあ、なつき」
その顔はまるでつい今しがた失恋したばかりの女のようで、派手に遊びまくっているキャバ嬢には絶対に出せない純朴さを醸し出していた。
「お前って今、男いんのか?」
尋ねるとなつきはバツが悪そうに顔を背けた。
「……御木先輩には関係ないでしょ」
「てことは、いねーな」
伊達に水商売で稼いでいたわけではない。
表の顔も、そして裏の顔も知り尽くしている。
今現在、間違いなくなつきに男はいない。
それだけなら大歓迎だが、少し引っかかる。
この態度から察するに、恐らく、ごく最近までは誰かと付き合っていたのだろう。
そして、破局した。まあ、それはいいさ。
望むところでもある。だがしかし。それでも。
「けっ……面白くねぇ」
未練が残っている女の顔は気に食わなかった。
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