5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/04(月) 22:12:51.88 ID:c2i0tNU+O
「なつき、俺とよりを戻せよ」
気づくと俺はそのようなことを口走っていた。
なつきは美人だ。間違いない。
昔よりもずっと綺麗になった。
最高のクルマに相応しい最高の女だ。
この女と付き合えば、俺は充実する。
そんな邪な欲望とは裏腹に、傷ついたなつきをどうにかしてやりたいという気持ちもあった。
だが、優しい言葉はすなわち、男の弱さだ。
水商売の世界では、そうした人の良いおっさんやおばさんがいいカモで、貢がされていた。
だから俺は敢えて強い言葉だけで強引に誘う。
「また昔みたいに楽しもうぜ?」
「……昔に戻るつもりはないよ」
そう言って拒絶するなつきの顔は。
完全に俺を見下していて、冷たかった。
まるで金が底をついたおっさんを見る目。
いや、未来に希望を抱いていた俺が無様に転落したことを嘲笑っているようにも見えて。
つい、カッとなって、怒鳴り散らした。
「そんな目で俺を見るなっ!」
「きゃっ!」
なにがきゃっ! だ。
そんなか弱い悲鳴なんざ似合わない。
なつきはもっと強い女だった筈だ。
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