6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/11/04(月) 22:14:36.91 ID:c2i0tNU+O
「……停めて」
「ちっ……わぁーったよ」
気まずい沈黙が流れて、頭を冷やした。
流石に今の態度は自分でもどうかと思う。
言われた通り、クルマを路肩に停車させた。
すぐにドアを開けてなつきが降りようとする。
この雪の中、山道で降りてどうするつもりだ。
などと、柄にもなく心配しているとなつきが。
「付き合ってる人は居ないけど、好きな人は居るから。すごく特別で、大好きな人なの」
そんな恋に恋する乙女みたいなことを言って。
まるで、自分がお姫様みたいな顔をしていて。
俺はクルマを急発進させて、山頂を目指した。
ギュアアアッゴォオオォオオオオオッ!!!!
「やめて! 停めて! 降ろして!」
「いいじゃねーか。ちょっと山頂まで付き合えよ。その大好きな人って話聞かせてくれよ」
なつきは恐らく、騙されている。
ホストに貢ぐ馬鹿な女と同じだ。
だってそうだろう。見りゃわかるだろう。
その大好きな人とやらのせいでなつきは今、傷ついているってことくらい、一目瞭然だ。
経験上、その男はダメだ。
夢見がちな女を誑かしてやがる。
そういう奴に捨てられた女はこんな顔をする。
また酷い目に遭うに決まってるのに。
それでもその男のことが忘れられないなら。
だったら俺が、なつきに現実を教えてやろう。
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