91: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/12(土) 09:44:54.44 ID:L3t7G6Qz0
「人命最優先で?」
「当たり前だ。掃討なんざ海の奴らにやらせとけ。捜索範囲は広げていい。敵のあいだを縫ってでも走れ」
92: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/12(土) 09:45:43.67 ID:L3t7G6Qz0
後藤田提督は五人が視界から消えても、水平線の向こうをしばらく見やっていた。強く吹き付け、髪を――それ以上に心をかき乱す海風に、帽子を持っていかれまいと軽く押さえている。
私も彼の視線を追う。とっくに消えてしまった五人の姿を、けれど彼にはいまだに見えているのだろうと想像できた。確かな絆が確かにあった。
「それで」
93: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/12(土) 09:46:09.33 ID:L3t7G6Qz0
知らない人間と歩調を合わせることは難しい。隊列を乱すことはできない。況や戦場ではなおさらだろう。無論、初対面の人間とでも滞りなく作戦を遂行する能力が、兵隊には必要だ。ただそれは互いの中に共通了解や行動規則が存在してのことである。
そして私は所詮厄介者で、海軍から艦籍を剥奪されたつまはじき。不知火や大鷹もそうだったというが、私には少なくとも道が、これから生きる術が用意されている。わざわざ艦娘を続ける必要は、表面上は、ない。OKを出す理由は薄い。
身体面での不安もあった。立って歩けるとはいっても負傷兵である。治ったばかり、という表現を使うにはあまりにもダメージが残りすぎている。能力差は歴然としているに違いない。
94: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/12(土) 09:46:54.69 ID:L3t7G6Qz0
が、だからこそ、交渉の余地がそこにはある。だめなのは当然だ。ならば「どうすれば」私はいいのか。
相手の口から答えを言わせるのは基本である。
しかし、帰ってきた答えは、予想していたいずれとも異なっていた。
95: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/12(土) 09:47:35.31 ID:L3t7G6Qz0
「命を粗末にはしません。沈んでいった姉さまたちに申し訳が立ちませんから」
「ならどうしてそんなことを言いだす。陸にあがれると言ったろう。新天地で新しい職を斡旋してやるとも。不満か。なにが不満だ」
96: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/12(土) 09:50:03.79 ID:L3t7G6Qz0
「だぁから嫌な予感はしてたんだよ。クソ」
吐き捨てるように、本日二度目の言葉。
97: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/12(土) 09:52:05.16 ID:L3t7G6Qz0
「救助部隊なのに?」
「だからこそだよ、嬢ちゃん。俺たちゃ人を助ける。今日も、明日も、明後日も。今日死ぬってことは、明日以降の要救助者を見殺しにするっつーことだ。明日のために生きるってことは、今日を疎かにするっつーことだ。違うか」
98: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/12(土) 09:53:50.76 ID:L3t7G6Qz0
苦しく死ぬか、楽に生きるか。
「どうして楽に生きようとしない」
99: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/12(土) 09:54:26.40 ID:L3t7G6Qz0
―――――――――――
ここまで
100:名無しNIPPER[sage]
2019/10/12(土) 11:52:38.50 ID:5yVX7lkro
お疲れ様です
101:名無しNIPPER[sage]
2019/10/12(土) 12:12:03.19 ID:fHZFAsA+o
おっつ
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