140: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/14(日) 22:54:15.74 ID:8naFKaaW0
私とカルパッチョは、改めて説明を始めた。
カチューシャは悪態をつくものとばかり想像していたが、思いのほか、説明を聞いているあいだは素直だった。
うんうんと頷きながら、RF-8の中で行儀良く体育座りをしていた。
141: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/14(日) 22:56:00.12 ID:8naFKaaW0
…………。
「えぇ……?」「……はい?」
142: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/14(日) 22:58:57.80 ID:8naFKaaW0
「ず、ずっとこのループの中にいるつもりかっ!? 本当にそれで良いのかっ!?」
「仕方ないじゃない、プラウダの雪が永遠に溶けないのと一緒で、カチューシャの勝利はもう決まったことなんだから」
143: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/14(日) 23:01:05.12 ID:8naFKaaW0
「嫌とか嫌じゃないとかの話じゃないわ」
「……運命が何と言おうと、カチューシャは勝たなきゃいけないの」
「たとえ一万回繰り返したとしても、勝つのはカチューシャなのよ」
144: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/14(日) 23:03:02.93 ID:8naFKaaW0
あんまりな言いぐさに、頭へかっと血が上った。
「い、言わせておけばお前ぇえっ! アンツィオは弱くなんかないっ! いや強いんだぞっ!?」
145: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/14(日) 23:04:28.19 ID:8naFKaaW0
「なんなら練習試合で証明してあげても良いけど、あいにく大洗との試合までのあいだに差し込む余裕はないわね」
そこまで言うと、カチューシャはRF-8の中に敷かれた毛布へ倒れ込み「ノンナ、帰ってもらって」と告げる。
もうこれで話を締めるつもりらしい。
146: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/14(日) 23:06:10.08 ID:8naFKaaW0
アンツィオは、本当は弱いのだろうか。
時折、頭をもたげるようになったその考えは、アンツィオの学園艦へ帰った後も続いた。
その度に私は首を振って頭の中から追い出したが、それでも何度も何度も復活する不安は、まるで呪いのようだった。
147: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/14(日) 23:07:56.63 ID:8naFKaaW0
このままではプラウダは大洗に勝利してしまう。
ループ脱出のため、前回のプラウダの戦術を大洗の連中へ密かに伝えることもできただろうが、そんな気も起こらなかった。
ひたすら戦車道の練習やバイトへ打ち込んでいると、あっという間に一週間が過ぎ去った。
148: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/14(日) 23:09:40.19 ID:8naFKaaW0
けれど今度は、大洗だけでなく、プラウダの奮戦にも目がいった。
思いのほか大洗が手強かったのだろう、いくつかの車輌が大洗に撃破されてしまった。
カチューシャは動揺している様子だったが、T-34/85が大洗のM3リーを撃破したのを皮切りに体勢を立て直し、そのまま大洗を押し切った。
149: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2019/07/14(日) 23:11:30.30 ID:8naFKaaW0
13回目の6月26日。
ベッドに横たわったまま、起き上がらずに思考へ沈む。
287Res/150.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20