11:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 09:14:50.85 ID:OWpqcD6m0
足早に聖書台を目指そうとして、繋いだ手がぴんと水平に伸びた。
背後からこつ、こつんと足音が響く度に角度がついて、
立ち止まった俺の隣で、彼女もぴたりと立ち止まる。
12:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 10:31:04.40 ID:OWpqcD6m0
◇ ◇ ◆
「お疲れ様でした」
13:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 10:54:27.59 ID:OWpqcD6m0
抱えたブーケを見つめ、楓さんは軽く首を振った。
「大丈夫です。気にしていませんよ」
14:以下、名無しにかわりまして高垣楓後援会がお送りします[sage]
2019/05/05(日) 11:00:10.54 ID:OWpqcD6m0
― = ― ≡ ― = ―
15:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 11:55:03.32 ID:OWpqcD6m0
◇ ◇ ◆
支払いを終えて戻ってみると楓さんが子供たちに囲まれていた。
耳馴染みの無い、幾らか辿々しい歌を唄う度に、子供たちが手を叩いてはしゃぎ回る。
16:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 12:17:57.05 ID:OWpqcD6m0
スパーケンブルグという地名に憶えは無かったが、
いざ訪れてみればなかなか盛大なお祭りだった。
伝統衣装らしい服を着た老若男女が賑やかに行き交っている。
17:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 12:46:19.16 ID:OWpqcD6m0
楓さんに小さな袋を差し出す。
彼女はしばらくぽかんとした後、おそるおそるといった様子でその袋を受け取った。
妙にぎこちない仕草に首を傾げていると、
祭りの喧騒にかき消されてしまいそうな声量で、けれど確かに呟いた。
18:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 13:51:41.84 ID:OWpqcD6m0
すいと手を伸ばして、伸ばした分だけ袋が遠ざかった。
あれ、おかしいなと思って視線を上げてみると、楓さんのにこやかな笑顔とかち合う。
再び笑いを零しながら手を伸ばすと、やっぱり袋はその分だけ遠ざかった。
俺と楓さんはお互いに笑みを零し合って、同時に席を立った。
19:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 15:00:52.47 ID:qcjLFNzZ0
意外な程あっさりと言い抜けた楓さんが俺から一歩だけ距離を取る。
見せつけるように掲げていた袋を、今度は胸へと抱き寄せる。
目を閉じながら、大切な宝物でも守るかのように、小さな袋を両手でそっと抱き締めた。
20:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 15:02:05.32 ID:qcjLFNzZ0
楓さんが、球根を返してくれる。
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