15:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 11:55:03.32 ID:OWpqcD6m0
◇ ◇ ◆
支払いを終えて戻ってみると楓さんが子供たちに囲まれていた。
耳馴染みの無い、幾らか辿々しい歌を唄う度に、子供たちが手を叩いてはしゃぎ回る。
胸ポケットからデジカメを取り出し、写真を一枚だけ失敬。
これでブログの更新もバッチリだ。
不意に強く風が吹き、楓さんの髪を悪戯に揺らす。
細い指先が乱れ髪をかき上げた拍子に、彼女はこちらへと気付いた様子だった。
この国は風が強い。
「あ。プロデューサー、フッデダッハ」
「フッデ……何です、それ?」
「こんにちは、らしいですね」
試しに子供たちへ話してみると、フッデダッハ、と元気な挨拶が返ってきた。
どこかで笛の音が響いたと思えば、彼らがどこかへと駆け出していく。
賑やかで結構だ。
「良いお土産は見つかりましたか?」
「良いお土産と言うか……半ば押し付けられました」
球根の入ったビニール袋を軽く振る。
時期こそ少々外してしまったが、オランダと言えばやっぱりこれだろう。
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