16:名無しNIPPER[saga]
2019/05/05(日) 12:17:57.05 ID:OWpqcD6m0
スパーケンブルグという地名に憶えは無かったが、
いざ訪れてみればなかなか盛大なお祭りだった。
伝統衣装らしい服を着た老若男女が賑やかに行き交っている。
一通りの撮影を終えて尚、花柄のあしらわれた民族衣装に身を包んだ楓さんは、
まるでこの街で生まれ育ったようで。
元モデルさんというのは凄いんだなと、改めて彼女に感心してしまう。
「チューリップ、ですか?」
「ええ。セン……ええと、何だか皇帝みたいな名前でした」
花の時期は逃したが、それでもあちこちでチューリップの球根が売られていた。
とはいえ俺は花にそう興味のある方でもなく。
気の利いた菓子でも見繕おうとしていた時に、
恰幅の良い御婦人からほとんど押し付けられるようにして買わされてしまった一品だ。
「どうするかなぁ、これ」
「ふふ。折角ですし、お家で育ててみては?」
「男やもめに花を咲かせても……楓さん、要ります?」
「……え?」
「お邪魔でなければですが」
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