56:名無しNIPPER[saga]
2019/04/28(日) 22:05:42.40 ID:D/gZfYJM0
1階のガレージに着き、扉を開けると――。
「うわ、くっっせぁ!!」
クサいとはなんだ。
プロデューサーは相変わらずこの匂いが好きじゃないらしい。
「志希ちゃん、これは……」
ゆっくりと、しかし真っ直ぐに、夕美ちゃんは部屋の中央に歩みを進めていく。
そこには、プラケースに入った一本のキンモクセイがある。
「あんまりネタバレしたくなかったんだけどねー。
ま、研究の進捗度合いはおよそ80%と言ったところかにゃ?」
まだ小さいし、花の数も少ないけれど、ピンクと言われればピンクかなーってレベルのキンモクセイ。
「出来たんだ……」
「まだまだだよ。『大胆』にはほど遠い。
一目見て夕美ちゃんにも正しくそれだと言わせられる状態まで、育てるつもりだったんだ」
「そっか……」
とても小さい声だったけれど、夕美ちゃんはその日、初めて笑った。
あたしの心も、自然と軽く浮き上がる。
「ごめんね志希ちゃん。でも……どうして、今になってこれを?」
「俺にも説明してくれないか、志希。
これを使って、どうやってメディアから夕美を守るというんだ?」
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