256:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 10:21:43.16 ID:f3jC59Mz0
体力の限界が近く足元をフラつかせる紺之介とお手上げと言わんばかりに両手を上げる乱怒攻流を見た愛栗子は二人が予想だにしない方針を切り出した。
愛栗子「もはや茶居戸にてわらわらにできることなぞ何一つとしてない。早急にここを離れ次を目指すべきじゃ」
乱怒攻流「次ってことは……もう刃踏しかいないわよね」
257:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 10:22:34.18 ID:f3jC59Mz0
紺之介「……は?」
彼女の出した結論に納得いかずの紺之介が声を荒げて反発する。
紺之介「何を言っている愛栗子! そんなことをすれば……」
258:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 10:23:03.71 ID:f3jC59Mz0
愛栗子「心配せずともよい。炉が奴の位置を知りとて小柄俊敏かつ逃走に命がけのあやつを捕まえるのは至難の業じゃ。それにのぉ紺」
愛栗子が下駄先で紺之介のむこうずねを軽く小突くと紺之介は刀を杖にしてその場に膝を着いた。
紺之介「ぃ゛つ゛……!?」
259:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 10:24:45.68 ID:f3jC59Mz0
愛栗子「ならば今はわらわの言うことに従ってもらうぞ。さて、そこの哀れな男も使えぬし戦わぬともなると奴の方からこちらの傘下へ入ってもらうしかなさそうじゃし、後のことはふみに頼み込むとするかの」
愛栗子「となると最後の問題じゃが」
刀狩り「がぁ……!?」
260:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 10:25:25.42 ID:f3jC59Mz0
紺之介「そこまでにしておいてやれ。で、幼刀刃踏を手にすると奴の方から傘下へ入るとはどういう意味だ? 刃踏はそんなに強いのか? だがな愛栗子……いくら刃踏が強くとも俺が幼刀に直接的な斬り合いをさせることは……」
愛栗子「分かっておる。じゃから『戦わぬ』と言うたではないか。奴ならば戦わずして奴をこちらに引き寄せることが出来るかも知れぬと言うておるのじゃ」
彼女の発言に乱怒攻流は何かを察したかのように呟いた。
261:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 10:26:05.44 ID:f3jC59Mz0
愛栗子「奴はの……ふみが十二のときに生んだ将軍さまとの赤子なのじゃ」
源氏、そして児子炉……それぞれの邂逅と過去の記憶を経て彼らは新たな旅路へと進む。
幼刀収集の旅は今、折り返しに向かおうとしていた。
262:名無しNIPPER[saga]
2019/04/21(日) 10:26:39.59 ID:f3jC59Mz0
続く
263:名無しNIPPER[sage]
2019/04/21(日) 12:09:20.74 ID:9vQgivPDO
固有名詞の読み方以外はほんとかっこいいのになあ…
264: ◆hs5MwVGbLE[saga]
2019/07/10(水) 17:45:58.76 ID:QarN0Zl90
幼刀 刃踏 -ばぶみ-
265:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:46:51.51 ID:QarN0Zl90
茂る山道に石擦る音。
それに合わせるよう蝉も音を奏でる。
乱怒攻流「ねぇ〜……ちょっとぉ、まだ付かないのぉ?」
266:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:47:19.12 ID:QarN0Zl90
乱怒攻流「もう疲れたんだけど……」
愛栗子「なんじゃもうへばったのか。その背嚢がおぬしの負担になっておるのではないかえ?」
げんなりとした様子で前屈み両膝に手をついた乱怒攻流を愛栗子が煽る。
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