114:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:40:04.15 ID:BBwPih0C0
愛栗子「まぁというわけで性格だけの話ならそこの背嚢の方がよほど尖っておったと思うがの」
乱怒攻流「なんですってぇ……!」
またも小競り合いが勃発しかけた二人の間に入りて紺之介が愛栗子を促す。
115:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:40:52.86 ID:BBwPih0C0
愛栗子の疑問に紺之介は己の胸の内の蟠りを打ち明ける形で答えた。
紺之介「アレを売りに来た船長とやらは仲間が刀の呪いに殺されたと語っていたらしいが、あれが幼刀透水だと仮定してそうなると露離魂を持った一味の誰かが透水を解放し、その状態の彼女に持ち主と船長以外の誰かが殺されたということになる」
116:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:42:05.64 ID:BBwPih0C0
紺之介(まだ何かを見落としている気がする)
打ち明けても尚蟠りが晴れない紺之介は店主との会話をもう一度最初から、鮮明に思い出していく。
そうして、遂にその蟠りの正体にたどり着く。
117:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:44:04.37 ID:BBwPih0C0
紺之介本人もう少しで全てが明らかになる気がしながら疑問が疑問を呼び唸りを重ねるばかりであった。
そんな彼を見ていて不憫と思ったのか乱怒攻流はあらぬ方向で話を完結させようとした。
乱怒攻流「なんだか知らないけどさ〜? あたしら刀になってからもう何年も経ってるんだし、実際に生きてたころとは性格が違ってる子がいたっておかしくないと思わない?」
118:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:44:40.09 ID:BBwPih0C0
紺之介「待て、そう決めつけるのはまだ……」
紺之介の考察脳を愛栗子の大欠伸が遮った。彼が愛栗子の方に目を向けてみると彼女もまた彼のそれを「憶測に過ぎんかもしれぬ」と両手を挙げた。
愛栗子「それもそうじゃの。しかし護衛業で稼ぎ続けるというのも難じゃしの……なんなら本当にわらわで金を借り入れてみるかえ?」
119:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:45:16.65 ID:BBwPih0C0
乱怒攻流「ふーん。あんたにしては珍しく面白い冗談じゃない。そんなこと言うなんて、もう頭は寝てるんじゃない?」
愛栗子「そうかもしれぬの。しかし我ながら画期的な考えじゃぞ? 鞘は渡さずに刀身だけを預けるのじゃ。柄は触らせぬように箱にでも入れての……で、金を受け取った後に離れた紺が納刀するのじゃ」
乱怒攻流「ふふふ、何それ。お主も悪よのぅ」
120:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:45:50.97 ID:BBwPih0C0
二人して悪代官芝居をうつ彼女らを見た紺之介は宿を飛び出してすっかり日の沈みきった往来を刀屋を目指して駆け抜けた。
紺之介(どうせ後から手元に幼刀が戻ってくるなら百両だって十分すぎるほど一攫千金だ! そういうことか!)
121:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:46:21.33 ID:BBwPih0C0
汗水を垂らしながら潜り抜けた暖簾の先には困り果てた表情で店内を走り回る店主の姿があった。
刀屋店長「ない! ない! ない! あれ……あんさんは確か昼間の……」
紺之介「例の呪いの刀がなくなったんだろう」
122:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:46:54.09 ID:BBwPih0C0
紺之介「もしも俺がその呪いの刀を持ってきた暁には俺にその刀を譲渡しろ。代わりにあんたには損失分の百両を渡す。これでいいな?」
まだ状況の全てが呑み込み切れていなかった店主であったが、出してしまった百両分の損失が帰ってくるという部分だけを商人耳で拾い何度も頷いた。
紺之介「ふん。この剣豪紺之介に任せておけ」
123:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:47:48.16 ID:BBwPih0C0
帰宿した紺之介は彼の帰りを待って起きていた二人に己の出した答えと計画を全て伝えた。
124:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:48:18.78 ID:BBwPih0C0
続く
602Res/308.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20