14:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:43:32.80 ID:HCYRpEUW0
『双葉杏が少女性徴覚醒を迎えたらどうなるのか』
双葉杏は美少女である。
生活態度こそだらしなく時には目を逸らしたくなることもあるが、そこは揺るぎ無い事実だ。
そんな美少女が成長をしたら、どんな風になるのか。気にならないという方が嘘になるだろう。
もちろん中には少女性徴覚醒を迎えても肉体的に大きく成長しない者もいる。
15:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:44:18.25 ID:HCYRpEUW0
「なぁ、杏。俺の為に咲いてくれないか?」
16:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:46:55.90 ID:HCYRpEUW0
プロデューサーは杏の前に膝を立てた状態で座り、彼女に目線を合わせてそう言った。
瞬間、プロデューサーの目には咲き乱れる花弁が目に写った。
……が、それは杏からではなく彼らの後方から舞ったものだった。
振り向くと、そこにはキュート部署所属の小学生アイドル、古賀小春の姿があった。
「プロデューサー、やっぱり王子様だったんですねぇ〜♪」
17:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:48:20.57 ID:HCYRpEUW0
では小春はプロデューサーに恋をしたのか? 否。では杏に? それも否。
『恋に恋するお年頃』という言葉がある。
小春は、プロデューサーと杏に自身の理想を垣間見たのだ。
それが小春が咲くきっかけとなった。
「はあー、素敵ですぅ〜♪」
18:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:49:29.37 ID:HCYRpEUW0
今さらながら、自身の言葉の意味に気付いたプロデューサー。しかし後悔先に立たずとは言ったものである。
振り向くと既に小春の姿は無かった。恐らく自分の見た感動を共感して貰いたくて誰かに話しに行ったのだろう。
「ど、どうしよう……?」
「知らないよ。それに、さっきの言葉はお断りだね」
「な、なんでだ? 別に俺相手じゃなくてもいいんだぞ?」
19:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:50:21.82 ID:HCYRpEUW0
「プロデューサー、私を咲かせて下さい〜!」
プロデューサー撃沈の翌日、キュート部署のフロアに大胆な告白が響き渡った。
声の主は日下部若葉、20才。
彼女は身長148cmと小柄であり、また童顔な事がコンプレックスであった。
彼女は昨日、小春から広まった噂を耳にしてこう考え付いたのだ。
20:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:51:18.64 ID:HCYRpEUW0
「あー、若葉? 自分が何を言ってるのか分かっているのかい?」
昨日の自分の事を棚にあげ、プロデューサーは若葉に言葉の真意を尋ねた。
「はいっ! 私、気付いたんです〜。私がおっきくなれないのは少女性徴覚醒がちゃんと起きてないからだって!」
自信満々に告げる若葉。
小さな胸を張るその姿は確かに義務教育を受けている最中だと言われても納得してしまえるだろう。
21:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:52:08.32 ID:HCYRpEUW0
「あのな、若葉。仮に君が咲いていなかったとしても、相手は俺である必要は無いんだよ?」
そう、彼女たちはアイドルである。アイドルとは夢を売る商売であり、基本的には恋愛は御法度なのである。
そんなアイドルが事務所内とは言え『自分を咲かせてくれ』と言うのは、はっきり言って問題発言である。
この後、プロデューサーが上司から呼び出しを食らったのは言うまでもない。
22:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:53:15.26 ID:HCYRpEUW0
その姿を見て杏はソファーに寝そべりながらニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。
「自業自得だね。昨日は杏に俺のために咲けとか言うし、今日は今日で若葉に私を咲かせてくれだなんて言わせるし」
「昨日のは反論出来ないが、今日のは俺は悪くないだろ……」
お説教の効きは予想以上に強かったらしく、普段の軽口にも力が無い。
「ねぇ、どうして杏を咲かせたいだなんて言ったのさ」
23:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:54:18.21 ID:HCYRpEUW0
「杏、お前は客観的に見ても美少女だ。そんなお前が成長したら、一体どうなると思う?」
「さぁ、案外若葉みたいに大して成長しないかもよ?」
「かもしれないな。でも、それでも俺は見てみたいんだ。杏が咲いた姿を」
プロデューサーの瞳には一片の曇りも無かった。
誰かに聞かれたらまた噂の元になるかもしれない。それでもプロデューサーは言葉を止めなかった。
24:名無しNIPPER[saga]
2019/02/14(木) 18:56:17.61 ID:HCYRpEUW0
平成も終わりを迎える今の時代、アイドルと呼ばれる存在は日々増え続けている。
玉石混淆である事は否めないが、それでもトップにいるアイドルの輝きは時代が移ろうとも変わることは無い。
「なぁ杏、咲くのは嫌か?」
「……この間も言ったけど、面倒。ただ……」
それまで天井を眺めていた杏は顔を背け、一言だけ呟いた。
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