6:名無しNIPPER[sage]
2018/12/03(月) 22:58:41.86 ID:HY1MskrZ0
「なぁ春香、この黒ペンで書き込んでるのはひょっとして……」
「……社長です。たまたま私たちと一緒にこっちへ来てて」
7:名無しNIPPER[sage]
2018/12/03(月) 22:59:54.86 ID:HY1MskrZ0
結果、ホワイトボードの隅に書かれることとなった茜の返信――慌てた筆跡の「いったん中止」が痛々しく視線をひくのである。
そうして、それを書かざるを得なかった本人の落ち込む姿というのも、また。
8:名無しNIPPER[sage]
2018/12/03(月) 23:00:52.59 ID:HY1MskrZ0
「随分とやられてるじゃないか。……それとも、黙ってたのは演出を考えていたからか?」
茜が僅かに顔を上げる。
9:名無しNIPPER[sage]
2018/12/03(月) 23:02:09.76 ID:HY1MskrZ0
「それで、何をするつもりだ。良かったら相談聞いてやるぞ」
「……プロちゃんが?」
10:名無しNIPPER[sage]
2018/12/03(月) 23:03:16.39 ID:HY1MskrZ0
すると茜は小さく鼻をすすり。
「だ、だったら……茜ちゃん、最初はパレードから始めたいでーす!
劇場の前の道路をこう、サンバサンバのカーニバルで練り歩きながら駐車場に入ってくるの」
11:名無しNIPPER[sage]
2018/12/03(月) 23:04:19.58 ID:HY1MskrZ0
===
とはいえ、夢というヤツは決まって最後に覚めて終わる。
アイディアをあらかた出し尽くすと、茜は落ち着くように息を吸い込んでから。
12:名無しNIPPER[sage]
2018/12/03(月) 23:05:31.05 ID:HY1MskrZ0
「そこんとこ、プロデューサーだって言うならキチンと把握していなくっちゃ。
いつかプロちゃんには言ったと思うけど、茜ちゃんが現場を盛り上げると、その愛くるしさがお茶の間の人に笑顔を生んで――」
「ゆくゆくは、世界を明るく照らす太陽に取って代わるアイドル……だっけな」
13:名無しNIPPER[sage]
2018/12/03(月) 23:06:39.32 ID:HY1MskrZ0
そうして私は、今の今まで置きっぱなしになっていた紙袋を彼女の前へと差し出した。
受け取った茜が中身を机の上に出す。
14:名無しNIPPER[sage]
2018/12/03(月) 23:07:20.05 ID:HY1MskrZ0
「……茜ちゃん足四本も無いよ?」
「一足はどうみても俺の分だろ? 茜の足には大きすぎる」
15:名無しNIPPER[sage]
2018/12/03(月) 23:08:13.88 ID:HY1MskrZ0
===
――さて、それからおよそ三時間後。
私は茜と劇場内のメインホール、そのステージ裏で待機していた。
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