2: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 17:44:41.36 ID:HUwosoqi0
✉
ショウノウ臭、ジャコウ臭、花香、ハッカ臭、エーテル臭、刺激臭、腐敗臭。
アームアって先生は「におい」ってたった3文字を、これだけ分類してたりする。
3: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 17:48:39.50 ID:HUwosoqi0
「パパは今日も帰ってこないの?」
ママは困ったような表情をする。
「最近忙しいみたいだから、しばらくは難しそうね」
4: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 17:50:19.70 ID:HUwosoqi0
「ママ! あたしも大人になったら、ママみたいなおかあさんになれるかな?」
ごはんを食べ終わったあと、ママのお膝に飛び乗ってそんなことを聞いてみた。
そうね、と顎に手を当て目を斜め上に向けながら、しばらく考え込んだあと、
5: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 17:57:11.87 ID:HUwosoqi0
✉
──おい、シキ
なにかにゃ? あたし、まだ寝てたいんだけど。
──おい、起きろしき。
6: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 17:58:30.29 ID:HUwosoqi0
瞼を開けてみると、見慣れた呆れ顔がそこにあった。
「おはよ〜プロデューサー。はぶあないすでー」
「いま会ったばかりだろうが! ったく、レッスンさぼんなよ。怒られるのは俺なんだぞ」
7: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 17:59:41.56 ID:HUwosoqi0
「志希。お前に頼みたいことがある」
なになにー、そんな真面目な顔しちゃって。
志希ちゃん、いやーな予感がするんだけど。
8: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 18:01:44.76 ID:HUwosoqi0
あたしは振り付けとか覚えても、すぐにてきとーにアレンジする。
だって飽きちゃうから。
大枠の構造を理解してしまったら、あとはそのときの気分の赴くままに身を任せてしまう。
化学は理論を大切にするものじゃないのかって?
9: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 18:03:12.71 ID:HUwosoqi0
「寮に入れれば?」
「空き部屋がないらしい」
「じゃあ、プロデューサーが──」
10: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 18:04:40.85 ID:HUwosoqi0
「いやならいやと言ってくだせー。仁奈、迷惑だけはかけたくねーですから」
不安そうに揺れる大きな瞳にあたしの姿が映っている。
つんと鼻を刺激するものがあった。
あたしの、苦手なにおいだ。
11: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 18:05:37.17 ID:HUwosoqi0
「ねぇ、お名前教えてくれるかな」
名前は識別するのに重要な記号だ。
試験管にもモルモットにも、記録するうえでラベルを貼ったり名前をつけたりする。
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