9: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/03(月) 18:03:12.71 ID:HUwosoqi0
「寮に入れれば?」
「空き部屋がないらしい」
「じゃあ、プロデューサーが──」
「さっき志希が言っただろ。誘拐だの騒がれたらめんどくさいことになる」
「他の子は? 響子ちゃんなんていいママになると思うけど」
「いま夏休みだろ。学校が休みで長期のロケを入れやすいから、みんな忙しくてな。志希はたまたま外泊ありのロケが入ってなかったからこうして頼んでるんだ」
なるほど。とりあえず筋は通ってるように思える。
あくまで表面上は。
「あたしの性格、知ってるでしょ。志希ちゃん、飽きたら失踪しちゃうかも〜」
脅してるわけじゃない。
レッスンだろうとお仕事だろうと、おもしろいにおいが鼻をかすめれば、そっちへ吸い込まれてしまう。
猫のように気まぐれに生きていく、それが志希ちゃんなのだ。
あたしの視線を受け止めていたプロデューサーが口を開きかけたとき、
「おねーさんは、仁奈と一緒にいるはいやでごぜーますか?」
かぼそい声がそれを遮った。
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