92: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 22:43:41.20 ID:6W5BK61q0
「これ、ください」
レジへ持っていくと、タグに書かれた値段よりもだいぶ安い額を請求された。
普段、この店はセールでもしない限りは値下げをすることはない。
93: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 22:44:48.77 ID:6W5BK61q0
その後もフラフラして、スーパーで安い弁当を買って帰宅した。
「ただいま」と言ったところで、「おかえり」と言ってくれる人はいない。
94: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 22:45:20.67 ID:6W5BK61q0
「少々事情があってね、物質世界に逃げてきたんだよ」
「事情って」
「普段、僕等は厳密なきまりを守って人間と契約している。だから罰せられることなんて滅多にないのだけれどね」
95: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 22:46:11.36 ID:6W5BK61q0
「どうすれば君を助けられるんだ」
「契約しなきゃいけないな。そうだね……これ以上君から感情を吸い取ったら、君の精神も崩壊してしまうだろうし……となると、僕自身の感情エネルギーを活性化させるしかないかな」
「えっと……一発芸でもすればいいか?」
96: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 22:46:55.59 ID:6W5BK61q0
「ふふ、嬉しいよ。今までたくさんの人の記憶を渡り歩いてきたけれど、直接作品に触れる機会は滅多にないからね。何百年ぶりだろう」
悪魔は穏やかな笑みを浮かべて映像に見入っている。
いつの間にか傷は治りつつあった。
97: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 22:48:41.74 ID:6W5BK61q0
どうせ観るなら、音響にも少しは拘りたい。
ちなみにこのマンション、見た目はボロいが何故か防音だけはわりとしっかりしている。
流石に夜なのでウーハーまでは使えないが、大音量を出さない限りはスピーカーをつけるくらいでは問題にならないのだ。
98: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 22:49:08.75 ID:6W5BK61q0
誰かと一緒にこの部屋で過ごすなんて、随分久しぶりに感じられた。
楽しかったな。
「また来てくれよな。俺の漫画だったらいくら読んでくれてもいいし、アニメも好きに再生してくれていいから。ゲームはセーブデータの都合があるから遊ぶ前に声かけてほしいけど」
99: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 22:49:35.59 ID:6W5BK61q0
「……遠峯が先に来ているのか」
「あれほど強烈だと、あまり彼が長居すると彼女の精神にも悪影響を及ぼすだろうね。他の窓を選ぶこともできるけど、どうする?」
100: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/16(金) 22:50:03.34 ID:6W5BK61q0
続
101:名無しNIPPER[sage]
2018/11/17(土) 08:44:15.07 ID:45OCPMHKo
乙
102: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/17(土) 20:21:58.38 ID:nT+bOUGp0
【6】
西洋風の墓や、日本風の墓……様々な形の墓が混在している。
空は曇っているのに何故か馬鹿でかい満月だけははっきり姿を現していて、極めて不気味だ。
174Res/112.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20