45: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:23:57.23 ID:oG3MxUaR0
懐かしい部屋。彼女のにおい。
しかし感慨に浸っている余裕はない。
彼女の勉強机の引き出しから光が漏れている。そうか、そこにあるのか。
46: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:24:55.45 ID:oG3MxUaR0
――あれ、痛くない?
おそるおそる目を開ける。
47: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:27:41.95 ID:oG3MxUaR0
手に握った光の玉の輝きが増し、景色を包み込んだ。
『ねえ、このキュロットスカート、前に布がついていて本当のスカートみたいに見えるの』
48: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:28:43.67 ID:oG3MxUaR0
翌日、彼女はスカートを穿いて登校した。
チラチラと俺の様子を窺っていた。
可愛い、似合ってると褒めてほしいんだろうなと察しはついたが、当時クソガキだった俺には素直に褒めることなんてできなくて、知らんぷりを決め込んだ。
49: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:29:10.68 ID:oG3MxUaR0
「はっ」
青い空、白い壁、白い床。勝手に動いている天井。
いつものスタート地点だ。
50: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:29:38.00 ID:oG3MxUaR0
「あいつも、彼女の心の結晶を集めようとしているのか?」
「いいや、違うようだね。彼の心は君への殺意で満たされていた。きっと、こちらの世界で彼に刺されると、君の心は現実でも死んでしまう」
フードで隠れていたから、あの男の顔は見えなかった。
51: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:30:14.05 ID:oG3MxUaR0
白い床の上に、彼女が立っていた。正確には、彼女の姿をした、何かが。
「やあ、まさか君だったとはね」
「気づいていた癖に。今はそんな姿をしているの? 前よりは趣味が良いわね」
52: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:30:55.43 ID:oG3MxUaR0
「おい、いい加減起きろ」
坂田が俺の頬をぺちぺちした。
そうだった、俺は病院で倒れたんだ。
53: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:31:29.45 ID:oG3MxUaR0
帰りの電車では、坂田に彼女のことを教えてもらった。
俺と彼女は中学の頃から付き合っていて、高校や大学も同じだったこと。
職場は別だが、就職とほぼ同時期に同棲を始めたこと。
54: ◆O3m5I24fJo[saga]
2018/11/14(水) 19:32:02.18 ID:oG3MxUaR0
家に帰り、俺は「絵夢の冒険記」のアニメのDVDを再生した。
単に、何か音がないと寂しかったからだ。
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