9: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 16:44:22.84 ID:1iL2fWn50
ちひろ「面白い話……時子ちゃ……時子さんがスカウトされたときなんて、面白かったですよ」
時子「……」
10: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 16:49:42.95 ID:1iL2fWn50
――――――
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――
11: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 16:51:48.64 ID:1iL2fWn50
黄緑の事務服を着た女性。その傍らには、普通のスーツを着た二十代半ばの男性だ。
時子「……世の中にはとんだ変態もいるものね」
12: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 16:55:02.98 ID:1iL2fWn50
私は黙って振り返る。さっきの、黄緑女の横にいた男性だ。
下を見遣ると、なるほど確かに私のハンカチが落ちていた。いつもなら取り巻きが我先にと拾いにかかるのだが、当然その男性はそんなことをしないだろう。
13: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 16:57:38.73 ID:1iL2fWn50
同じようにただ黙って彼を睨めつけていると、彼は何を思ったか、ほんの少し頭を垂れ、捧げるようにハンカチを私の前へ差し出した。
一瞬呆気にとられ、変な感覚が全身を走った。私はなるべくその様子を見せず、冷たく言い放つ。
14: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 16:59:58.22 ID:1iL2fWn50
時子「靴?」
私はもう一度視線を落とし、自分の靴を見た。
15: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 17:05:29.12 ID:1iL2fWn50
ちひろ「断っていただいても、全然かまわないので!」
時子「……ふん、別にかまわないけれど。先に一つ貴方に言っておいてあげる」
16: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:18:54.60 ID:1iL2fWn50
時子「アイドルなんて遊びよ。金のために働くなんて馬鹿みたい。所詮、この世のすべては生きてる間の暇つぶしに過ぎないんだから」
スカウトされた直後、彼と彼女の目の前で放ったこの言葉は、彼らにとってとても鮮烈だったらしい。
17: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 19:21:04.75 ID:1iL2fWn50
ちひろ「本物、ですか?」
あのとき彼は、私の靴を見て私に見合っている、と言った。
18: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2018/11/03(土) 19:22:28.25 ID:1iL2fWn50
――さすがに、虚を衝かれた。
時子「……どんな?」
19: ◆Ava4NvYPnY[saga sage]
2018/11/03(土) 19:23:22.86 ID:1iL2fWn50
ちひろ「まぁ、まだ仮ですけどね」
ちひろ「もしかして、怖いですか?」
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