26: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:28:01.60 ID:LgMjPCNT0
――これを、演じなくちゃならない。
そう思えば、自然と身震いする体。
27: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:29:05.73 ID:LgMjPCNT0
「みんなで一致団結して穴を掘る。まるで演じる私たちみたいですね〜」
「で、でも。琴葉さんの役が足りませんよね……?」
28: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:30:43.52 ID:LgMjPCNT0
前半じゃ息詰まるように大人しかったバックミュージックは明るく奏でられて、
穴を掘るという演技をする誰も彼もが大変そうでも笑顔だった。
特に、雪歩ちゃんが穴を掘っている時の楽し気な演技と言ったらもう!
29: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:31:42.72 ID:LgMjPCNT0
【二幕 壁を掘る人#2】
「大失敗だったの」
彼女はにこやかに笑ってそう言った。
30: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:32:50.72 ID:LgMjPCNT0
だけど彼女は、私たちが『壁を掘る人』を演じることになったと聞いて
「懐かしいな」と当時を振り返り、「あの劇は大失敗だったよ」というとんでもない言葉で追想に一区切りをつけた。
「失敗?」と、琴葉さんが釈然としない様子で訊き返す。
31: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:34:26.69 ID:LgMjPCNT0
「あの頃は私、まだアイドルにだってなり立てで、色んな嫌なことからも逃げたくて。
そこに、プロデューサーがあのお仕事の話を持ってきたの。雪歩にピッタリの物語だって」
「それも、やっぱり木無塚さんが当て書きで?」
32: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:35:47.33 ID:LgMjPCNT0
===
貴重な彼女との時間はそれで終わった。
プロデューサーが雪歩ちゃんを迎えに来ると、
33: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:38:43.30 ID:LgMjPCNT0
「物足りないってよりも、惑わされたって感じです。煙に巻かれちゃったとでも言うか」
「でも、雪歩ちゃんに口止めをした木無塚さんたちの気持ちも……私は少し、分かるな」
34: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:40:27.77 ID:LgMjPCNT0
【二幕 壁を掘る人#3】
「それで、紗代子さんはどうしたいの?」と、目の前に座る小さな女の子は言った。
次いでストローの飲み口から唇を離し、半分ほどの量になったカフェラテの容器をテーブルに戻す。
35: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 16:44:47.97 ID:LgMjPCNT0
>>34 訂正
〇デビューした時点で知名度だってある程度有していた鳴り物入りの穎才だ。
×デビューした時点で知名度だってある程度有していた鳴り物入りの麒麟児だ。
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