12: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 21:21:37.80 ID:wWXdAL2J0
「本気?」
彼は私の言葉を聞くのも煩わしそうに、うなずいた。
「常務が新しいユニットをつくるんだ」
13: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 21:22:08.73 ID:wWXdAL2J0
「そうかな」
「そうよ」
プロデューサーさんは不貞腐れたような顔で私の方を見た。そして、常務から言われたことを教えてくれた。
14: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 21:23:34.84 ID:wWXdAL2J0
「断れなかったの」
「断れたのかな」
「あなたは私のプロデューサーよ」
15: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 21:24:03.75 ID:wWXdAL2J0
「奏はぼくよりずっと、大人だと思っていたんだけど」
彼はそう吐き捨てて、部屋から出ていった。
私は思わぬ反撃に立ち竦んでしまって、怒ることも、追いかけることもできなかった。
16: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 21:51:52.59 ID:wWXdAL2J0
一週間頭を冷やしてから、プロデューサーさんに電話をかけた。
でも彼は出てくれなかった。
LINEもしてみたけれど、既読もつかない。
私はオフの日なのにプロダクションに行って、プロデューサーさんを探した。
17: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 21:52:38.48 ID:wWXdAL2J0
「私のプロデューサーさんは?」
ろくな挨拶もせずに、私は常務に尋ねた。
常務は表情をかえずに、背筋が凍るような、ひやややかな声で言った。
18: ◆u2ReYOnfZaUs
2018/06/22(金) 21:57:46.69 ID:wWXdAL2J0
※17を訂正します
19: ◆u2ReYOnfZaUs
2018/06/22(金) 21:58:42.45 ID:wWXdAL2J0
「私のプロデューサーさんは?」
ろくな挨拶もせずに、私は常務に尋ねた。
常務は表情をかえずに、背筋が凍るような、ひややかな声で言った。
20: ◆u2ReYOnfZaUs
2018/06/22(金) 22:29:58.20 ID:wWXdAL2J0
「彼は辞表を提出しこのプロダクションを去った。
新しいプロデューサーは、プロジェクト加入が正式に決まり次第通知する」
「辞表? ユニット?
なんのことだか……」
21: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 22:42:18.91 ID:wWXdAL2J0
常務はただ淡々と、事実を突きつけてくる。だから否定もできないし、反論もできない。
それでも私は反撃がしたくて、言い返した。
「私は、常務のつくるユニットには参加しません」
22: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/06/22(金) 23:16:46.11 ID:wWXdAL2J0
私は、頭を深く下げて部屋から出た。
常務に屈服したわけじゃない。自分の幼稚さに、頭が重くなった。
傷つけるためだけの信頼。甘えるためだけの冗談。
私はプロデューサーさんが私のことを真剣に考えてくれるように仕向けたけれど、彼の心を真剣に考えたりしなかった。
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