20:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:00:15.59 ID:420CtvZa0
千早 「ねぇ、“水瀬さん”」
伊織 「……何よ」
──“水瀬さん”。
21:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:01:13.21 ID:420CtvZa0
顔を逸らしたまま目線だけを送る伊織ちゃんと、
逸らす事なくまっすぐに見つめる千早ちゃん。
そんな二人の根比べはすぐに決着がつきました。
22:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:03:37.25 ID:420CtvZa0
伊織 「──今日ね、取材があったんだけど」
そう前置くと、彼女は話し始めました。なぜ彼女がこんな芝居を打ったのかを、その想いを。
23:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:05:36.73 ID:420CtvZa0
伊織 「その内の一つに、こんな質問があったの──【あなたにとって所属事務所とは何ですか?】ってね」
あら?アイドル個人に焦点を当てているコラムだけに、そういう質問は珍しいですね。普段は本当にアイドルだけを掘り下げていくんですけど……ウチの事務所はみんな仲良しって、評判だからなのかしら?
24:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:07:49.92 ID:420CtvZa0
俯いたまま、少し考える時間が必要かしらとも思いましたが、すぐに顔が上がりました。
どうやら、答えは見つけられたようです。
25:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:10:32.34 ID:420CtvZa0
でも、それは千早ちゃんだけに限った話ではありません。
伊織 「そんなに気にする必要ないわ……だって、私もそうだから」
千早 「え?」
26:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:14:05.10 ID:420CtvZa0
少しして落ち着いたのか、伊織ちゃんの方から口火を切りました。
伊織 「──こほん。ともかく、そんな話の後だったからかしら。事務所に戻ってあんたと話してた時に、ふと思ったのよ。“水瀬さん”なんて他人行儀に呼ばれるのはもう嫌、ってね」
27:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:22:04.36 ID:420CtvZa0
伊織 「とにかく『とっかかりさえ作っちゃえば、後はもうなし崩し的にイケるでしょ』って思ってたけど──まさか、あの千早に見抜かれるとはね」
千早 「ふふ、結構分かりやすかったわよ?」
そうですね、千早ちゃんの言う通り。でもそれは、普段の彼女を知っているからこその言葉。知らない人には絶対に見抜けなかったでしょうね。
28:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:23:35.48 ID:420CtvZa0
でも、それも仕方のない事かもしれません。
千早ちゃんに、まっすぐ目を見つめられてあんな事を言われたら、私だってきっと……。
千早 「だから、私のためにありがとう──伊織」
29:名無しNIPPER[saga]
2018/06/12(火) 03:24:42.16 ID:420CtvZa0
でも、その反面ちょっぴりうらやましい気持ちもあるんです。
今すぐにでなくても構わないから。
いつか私のことも──“小鳥”って呼んでほしいな。
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