2: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:24:04.46 ID:b5T3fSU/0
「これ、どうぞ」
「いいのですか?」
3: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:24:59.68 ID:b5T3fSU/0
***************************
あたしこと大原みちるは、とあるアイドル事務所に所属しています。
4: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:26:24.61 ID:b5T3fSU/0
……そんなにパンが好きなのになんでアイドルなのかって?
確かにあたしはパンが好きで、美味しいパンを食べてるときが一番幸せなんですよね。
だからまあ、少し前までのあたしなら将来はパン屋さんになります、って言ってたと思うんです。
5: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:27:14.58 ID:b5T3fSU/0
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幸せを分ける。
6: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:27:40.82 ID:b5T3fSU/0
ぐう。
7: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:29:17.87 ID:b5T3fSU/0
慣れないことをするとお腹が減りますね。
いえ、決して頭を働かせるのが苦手とか、そういう訳ではなくてですね。
えーと、そ、そう、あたしは直感派なんですよ、あははー!
……そういうことにしておいていただけるとありがたいです、ハイ。
8: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:30:12.65 ID:b5T3fSU/0
「相変わらずみちるは幸せそうに食べるな」
「フゴ?」
9: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:30:50.53 ID:b5T3fSU/0
「……ふう」
小麦粉の魅力を味わうのに夢中で、バゲット一本があっという間になくなってしまいました。
でも、まだちょっと物足りません。
10: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:32:17.56 ID:b5T3fSU/0
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ここ最近は、時間があっという間に過ぎていくような気がします。
11: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:33:29.75 ID:b5T3fSU/0
あ、これでもあたし、運動とかは結構できる方なんですよ?
でもやっぱり歌ったり踊ったりっていうのはちょっと勝手が違うというか。
色々と大変なんですけど、なんだか毎日楽しいです。
出来なかったことが出来るようになるって、こんなに嬉しいものなんですね。
12: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:34:29.84 ID:b5T3fSU/0
そんなこんなで毎日結構楽しく過ごしているんですが、一つ驚きのニュースがあるんですよ。
大原みちる、デビューが決まりました!
なんだか最近、いつもよりレッスンが厳しいなーとは思ってたんです。
13: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:35:21.02 ID:b5T3fSU/0
そんなことを考えながら公園を歩いていたんですが。
あ、この公園を通ると事務所まで近道できるんですよ。
なのでいつもありがたく使わせてもらってるんですが、ベンチにですね、知ってる人影を見つけまして。
14: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:39:27.60 ID:b5T3fSU/0
事務所でのライラさんは、ふんわりと柔らかい、出来立ての食パンみたいな笑顔でいるんですけど。
ベンチに腰掛けるライラさんは視線を足元に落としていて、ちょっと元気がなさそうです。
実はあたし、ライラさんとそんなにお話をしたことはないんですけど、でも、気になります。
15: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:39:53.89 ID:b5T3fSU/0
ぐぅ〜
16: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:41:22.84 ID:b5T3fSU/0
あっという間に心配事を片付けたあたしに返ってきたのは、聞き慣れた音でした。
レッスン終わりに、あたしがパンを求めるときに聞こえてくる音。
でも、いまのはあたしじゃありません。
ということは……
17: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:42:20.91 ID:b5T3fSU/0
あれ?
バゲットを握りしめたライラさんの腕がプルプルしてます。
さっきまで笑ってた口もへの字になって。
18: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:43:16.21 ID:b5T3fSU/0
そんなライラさんを見ていると、なんだかあたしまで嬉しくなってしまいます。
まっすぐな気持ちがすごくあったかくて、幸せそうなライラさんの表情に、あたしまで幸せを感じるようで。
『その幸せ、分けてもらえないかな』
19: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:44:06.59 ID:b5T3fSU/0
二人並んでベンチに腰かけて、一緒にいただきますをしてパンを一口。
パリパリッ!
20: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:46:28.56 ID:b5T3fSU/0
……あれ?
「……フゴフゴさんって、あたしのことですよね?」
21: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:47:03.39 ID:b5T3fSU/0
「フゴフゴ、フゴゴッ!!」
「おー」
22: ◆Hnf2jpSB.k[saga sage]
2018/04/12(木) 19:49:40.77 ID:b5T3fSU/0
体裁を整える前のものなので、実際に合同誌に載ったものとは若干異なります
それほど違いがあるわけではありませんが
ともあれ、お楽しみいただけましたなら幸いです
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