5: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:51:29.57 ID:i93qXE2v0
叢雲「……んっ」
提督の唇と叢雲の唇が触れる。
最初は短く、次は長く。提督が舌を入れると叢雲はそれに答えるように自分のを絡める。舐るように、溶け合うように、蛇のように互いの咥内で蠢きだす。
事務仕事などで集中が完全に切れたり、ストレスがたまった時などに出る提督の癖。
6: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:51:58.19 ID:i93qXE2v0
果たしてどれほどの間二人は繋がっていたのだろうか。とうに湯呑の中のお茶は冷めきってしまっていたが、双方喉は潤っているからさして問題はない。
ちゅるっ、と音がして提督の口から叢雲の舌が抜かれる。この時間は今までの中でもおそらく最長記録だろうと蕩けてぼんやりとした頭で叢雲は考えていた。
叢雲「はぁ……はぁ……。……どう? 満足した?」
7: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:52:29.64 ID:i93qXE2v0
昔から海が好きだった。大きく青い海が大好きだった。
そんな大好きな海が今未知なる敵によって危険に晒されている。海軍の家柄であったことを差し引いても、自分が海軍を志望したことは彼からすれば至って当然のことであった。
提督「…………」
8: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:52:57.87 ID:i93qXE2v0
提督(潜水中は外の声が聞こえないのがネックだが……。問題ないだろう)
提督の読みは半分当たっていた。確かに声の主は読み通り先ほどまで提督が浮かんでいた場所、つまり今提督が目指している場所と真逆の方に進んでいたのだ。
しかし提督は完全に忘れていた。逃げることに夢中で、お気に入りの場所を守るのに必死で、あることを忘れていたのだ。
9: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:53:25.28 ID:i93qXE2v0
曙「ばっかじゃないの!? ばっっっっっかじゃないの!?」
提督「……返す言葉もない」
秘書艦、綾波型八番艦 駆逐艦である曙の怒号が司令室を震わせた。
10: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:54:00.23 ID:i93qXE2v0
今、曙は提督と向かい合うように膝に座っている。
心臓は今にも破裂しそうにばくばくと脈打っており、こんなに緊張したのは生まれて初めてだった。
たぶん初めて戦場にに立った時よりも、初めて敵を轟沈させた時よりも緊張している。
提督「……曙は小さいな」
11: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:54:40.79 ID:i93qXE2v0
「……帰投したわ。あら、大分すっきりした顔しているじゃない。……へえ? 曙が? ふぅーん」
「いいえ、私は別に何も言ってないわよ。今日の事はあの子が自分の意志でやったこと。え? 驚かないのか、ですって?」
「ぜーんぜん。そりゃあ見られた時は流石に驚いたけれど、私がむりやりアンタを襲っているように見える時点であの子も遅かれ早かれこうなってたわよ」
12: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:55:13.02 ID:i93qXE2v0
13: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:55:41.62 ID:i93qXE2v0
提督は優秀な男だった。
長男坊であったし、父も祖父も軍人であったため教育はしっかりしたものであった。
学校は首席で卒業し、空手や柔道、剣道などをはじめとした武道の成績も決して勉学に劣るものではなかった。
提督「…………」
14: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:56:18.00 ID:i93qXE2v0
提督「ほぉ……、一度三つ編みにしてそれを巻くのか……」
満潮「慣れると結構簡単よ。見た目よりも手順は少ないしね」
提督はまたほぉーと感心したように声を出す。その手には髪型を説明してくれるためにほどいてくれた満潮の髪がある。
15: ◆7OUWtrrklk[saga]
2018/03/22(木) 17:56:53.01 ID:i93qXE2v0
別に頭をなでられることが好きなわけじゃない。
司令官以外の男に髪を触られると想像しただけで怖気がするし、最初のころは司令官にだって触られたくはなかった。
いつからだろうか。司令官を他の奴とは違うと感じ出したのは。
いつからだろうか。司令官が他の娘と話しているとイラっとするようになったのは。
でも、これだけは覚えている。これだけは忘れられない。
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