2:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:15:35.80 ID:miKl5BoQo
肩を叩いて声をかけるとすぐに目を覚ましてくれた。
それから一秒か二秒、私を見つめて、
春香「おはよう、千早ちゃん……?」
3:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:16:19.73 ID:miKl5BoQo
千早「は、春香、落ち着いて。まずは状況を……」
そんな風に春香に声をかけた時、ふと思い出した。
そう言えばさっき周りを見回した時、気になる何かがあったような気がする。
確か向こうの方に……
4:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:16:46.09 ID:miKl5BoQo
千早「……『キスしないと出られない部屋』……」
そう表示されていた。
正確には「キス」の横に括弧書きで(唇同士)と付け加えてあった。
5:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:18:50.73 ID:miKl5BoQo
春香は慌ただしく目線を動かしながらベッドから降りる。
私もそれに倣って降り、立って改めて液晶を見直した。
千早「ドッキリ……そうね。そう考えるのが一番自然、かしら。
でも、一体どういう趣旨の……? よく分からないわ」
6:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:19:21.37 ID:miKl5BoQo
どうやら状況に混乱していたのは私の方だったみたいだ。
春香に言われるまで、液晶に表示された文字を
どこか自分とは関係ない遠くのもののように感じていた。
でも今ようやく、実感が追いついた。
7:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:20:35.02 ID:miKl5BoQo
春香「大丈夫ならいいんだけど……。
考え事って、やっぱりこの部屋のこと? 何か分かった?」
千早「いえ……ごめんなさい、何も……」
8:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:23:22.48 ID:miKl5BoQo
それから私たちは部屋を調べ始めた。
部屋に唯一あったドアは、当たり前だけれど、開かなかった。
それから部屋に置いてある家具。
ただそっちの方は、調べれば調べるほど、驚きの連続だった。
9:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:24:24.28 ID:miKl5BoQo
仮に何日間も拘束されたとして、アイドルの活動に支障は出ないのだろうか。
いや、これがテレビの企画なのだとすれば、もう既に仕事は始まっている……?
やはりどこかにカメラがあって、私たちの様子を記録しているのかも知れない。
だとすれば悪趣味な気もする。
プロデューサーは本当にこのことを了承して……
10:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:26:40.60 ID:miKl5BoQo
うつむき気味に、チラと液晶に目を向ける春香。
それから顔を上げて、困ったように笑って、
春香「してみよっか、キス……。
ちょっと恥ずかしいけど、すれば出られるって書いてあるんだし!
11:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:28:37.99 ID:miKl5BoQo
『春香とキスをしたくない』
そんな私の想いが……本音が。
そのまま表情に出てしまっていたんだ。
12:名無しNIPPER[saga]
2018/02/26(月) 21:29:50.93 ID:miKl5BoQo
私がキスを拒んでから少しの間、当たり前だけど少し気まずい時間が続いた。
でもそれは、二人で音楽を聴いたり、お菓子を作ったりするうちに、いつの間にか解消された。
その頃になると私も多少は気持ちに余裕が生まれたのか、
作ったお菓子を食べながらふと、日課の発声をしていないことを思い出した。
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