112:名無しNIPPER
2018/04/26(木) 21:46:46.07 ID:d0sW8bwj0
続きはよ
113:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:26:48.63 ID:MVi1fTqy0
【女心】
夕食の買い出しは私と部長さんで向かっていた。
というのも、未来くんもソラくんも急にやる気が入ったみたいで、なら私たちが、となったわけだ。
114:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:27:24.17 ID:MVi1fTqy0
「私まったく分からないから。シノちゃんが選んでね」
そう野菜コーナーで言われたときは、この人もしかして人任せにしようとしてるんじゃないかと疑ったけど、どうやら本当のことらしい。
昔はしてたんだけど下手すぎてやになったの、と言ってはいたが、きっとそれが全てではないだろう。
115:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:28:59.14 ID:MVi1fTqy0
スーパーを出て、学校への帰り道を歩く。買ったものはレジ袋一つに収まりきる量で部長さんが持ってくれている。
ふと空を見上げると、厚く覆われた雲で星や月は何一つとして見えない。
また雨が降りそうだな、と思う。
116:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:29:47.08 ID:MVi1fTqy0
「……わっかんないかなあ。この荷物は見るからに重そうじゃないでしょ? てかシノちゃんも詰めるときに持ってたよね?
だから口実だよ口実。手を繋ぎたいんだけどちょっと恥ずかしいからオブラートに包んで遠回しに婉曲してるわけなんですよ」
「はあ」
117:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:31:03.44 ID:MVi1fTqy0
数分間会話もなく歩いていると、彼女の手のひらから伝わる熱も小さなものにまで変わっていた。
以前も思ったことだけど、身長とは似つかない小さな手だ。私と同じか、ちょっと大きいくらいだと思う。
ぎゅっと力をこめてみる。──すごくやわらかい。
118:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:33:22.38 ID:MVi1fTqy0
「今日のみんな。なんとなく吹っ切れたみたいでよかったじゃない。特に白石くんとシノちゃんは」
「……そうですかね?」
119:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:34:29.55 ID:MVi1fTqy0
「スイッチが入るまでに時間が掛かるタイプなの」
「それも知ってます」
120:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:35:44.21 ID:MVi1fTqy0
手を止めて顔を上げるとことごとく目が合って、数秒後にふいっと逸らされる。というのが今日だけで十回以上はあった。
こっちを見ていたのは部長さんを見ていたからだとも取れるけど、……やっぱり私が睨んでるように思われてるのかな。
「シノちゃんはどう?」
121:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:36:16.43 ID:MVi1fTqy0
今じゃないと描けないかもしれない、という気持ちがなくはない。
私の中では、まだ描けていることが信じ切れていない。いつ元に戻ってもおかしくはない。
なら、と思う。今を大事にしなければ、と月並みなことを。
122:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:37:12.47 ID:MVi1fTqy0
【終わりと始まり】
集中して物事を進めているとこんなにも時間が経つのが早いのか、と改めて考えるくらいには余裕を持ちながら、締め切り当日を迎えた。
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