122:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:37:12.47 ID:MVi1fTqy0
【終わりと始まり】
集中して物事を進めているとこんなにも時間が経つのが早いのか、と改めて考えるくらいには余裕を持ちながら、締め切り当日を迎えた。
この分だとみんなギリギリになるのでは、と考えていたら、
夜明け前あたりにソラがひとこと「終わった」とだけ言って荷物をまとめて部室から出て行った。
萩花先輩と俺はあっけにとられながらも、ほぼ同じタイミングで「おつかれさま」と閉じた扉に向けて呟いた。
東雲さんと胡依先輩は一度も寝ずに作業を進めて、今はソファでぐっすり寝ている。
ちょっとだけ睡眠を取ってから、残っているものを終わらせて、それから手直しをしていくらしい。
俺も、萩花先輩の助けもあり(というかほぼ萩花先輩のおかげで)もうすぐ終わりというところまで進めた。
描いているのを見てくれながら、トーン張りや背景、台詞の打ち込みまで手伝ってくれたのだから、本当に頭が上がらない。
これを終えて一枚絵の塗りを済ませれば、もう本当の本当に終わりだ。
そう考えてしまうと、不思議と「ああやっと終わった」という徒労感よりも「そうか終わったんだ」というある種名残惜しさのようなものを感じた。
それは夏休みの終わるまでは終わらない課題とは大違いだった。当たり前のことだけど。
描ききってしまうと不思議とまた描きたくなるものなんだよ、とちょっと嬉しそうな顔で萩花先輩が言っていた。
そうかもしれない。何か一つでも大きな目標を達成できれば、見える景色がいろいろと変わってくるのかもしれない。
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