117:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 00:31:03.44 ID:MVi1fTqy0
数分間会話もなく歩いていると、彼女の手のひらから伝わる熱も小さなものにまで変わっていた。
以前も思ったことだけど、身長とは似つかない小さな手だ。私と同じか、ちょっと大きいくらいだと思う。
ぎゅっと力をこめてみる。──すごくやわらかい。
ぶんぶん振ってみる。──なんだか子供みたい。主に私が。
少し力を抜いてみる。──そのまま離れてしまいそうで、握り直す。
ちらっと部長さんを見ると、なぜか複雑そうな表情をしている。
「ごめんなさい。……嫌だったですか?」
「ううん。べつに嫌じゃないよ」
「そうですか」
「そうよ。こうだったのかなーとか、そんなこと考えてただけ」
「……」
「……あ、ごめん。こっちの話」
取り繕うように笑って、今度は彼女の方から手のひらに力をこめてきた。
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