1: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/02/08(木) 01:43:12.36 ID:1k4n5Mtx0
奇跡だとか、運命だとか。
その類の言葉があまり得意ではなかった。
目に見えない存在に成果を横取りされている気がして、どうにも好きになれなかったのだ。
何より、これまでの紆余曲折を運命の二文字で片付けられてしまうのは寂しい。
私がこの言葉たちを好意的に解釈できるようになったのは、つい最近のことだ。
そして、それはたった一人の所業だったりする。
これから、私はその人物の話をしようと思う。
私のそれまでの価値観を全部全部壊してしまった、私史上最高に自分勝手で、私史上最高に信頼できる人の話を。
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2: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/02/08(木) 01:43:35.20 ID:1k4n5Mtx0
○
とは言ったものの、いきなりその人の話をしても、あまり伝わらないだろう。
3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/02/08(木) 01:44:04.09 ID:1k4n5Mtx0
■ 1
4: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/02/08(木) 01:44:30.92 ID:1k4n5Mtx0
○
カーテンの外からの「加蓮ちゃん」という声で、アタシは見ていたテレビを消す。
5: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/02/08(木) 01:45:00.20 ID:1k4n5Mtx0
○
病室に戻されて半時ほど過ぎた頃、服を着たまま川遊びでもしてきたのではないかというくらい全身をぐっしょり濡らした母がやってきた。
6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/02/08(木) 01:45:28.14 ID:1k4n5Mtx0
○
テレビはアタシにとって、空白を塗り潰す数少ない手段だった。
7: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/02/08(木) 01:46:05.84 ID:1k4n5Mtx0
○
アタシがテレビを見るでもなく、流し始めてから少しの時間が経ち、母は思っていたよりも早く戻ってきた。
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