3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/02/08(木) 01:44:04.09 ID:1k4n5Mtx0
■ 1
真っ白な牢獄にも夏は来る。
うんざりするほど青い空に、もくもくと盛り上がる入道雲、それからやかましい蝉の声。
生命の躍動を嫌でも感じさせられるこの季節は、一年の中で最も自身の無力さを思い知る。
檻の外に出ることは許されず、このまま一生をここで過ごすことを定められた自分にとって、夏は苦痛以外の何物でもない。
のっそりとベッドから体を起こし、テレビカードの残額を確認して、溜息を吐いた。
お母さんが来たときに、また買ってもらわないと。
辛そうに笑顔を作る母の顔を思い浮かべて、また大きな溜息を吐いた。
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